【ご来場ありがとうございました!】蜻蛉玉遊戯 公演情報 趣向「【ご来場ありがとうございました!】蜻蛉玉遊戯」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    絶品!
    この日はスケジュールにぽっかり穴が空いて、破格の料金ということもあり、急きょ当日券で観に行った公演だった。しかし予想に反して素晴らしいものを観て、ものすっごく感激しちゃったよ。霊験あらかたな気持ちで真摯に観劇。
    今回の演目は「キョウダイ」「Sky Burial 天葬」「CARNIVALカーニヴァル」。前2つがオノマリコ、最後がモスクワカヌの戯曲。二人の共通点は繊細で美しい世界観だ。

    以下はネタばれBOXにて。。

    ネタバレBOX

    「キョウダイ」
    二人の兄弟は小さなころから仲良しで2人で一つみたいにいつもくっついて楽天的にバカをやりながら遊んでいた。小学生になっても、中学生になっても、こうしてくっついて離れることはないのだと思っていた。先生にはもっと広い視野で友達を作らなくちゃダメだよ。なんて指導されたけれど、兄弟がいれば私は十分だと思っていた。だけれどやがて、兄弟は、なんだか少しずつ私から逃れようとしているようだった。その兄弟との境界は曖昧で安定していなかった。遠くの大学に行った兄弟はやがて音信不通になり、生きてるのか死んでるのか解らなくなった。かつて私には兄弟がいました。



    「Sky Burial 天葬」
    父親が仕事で多忙な一つの家族は姉と弟と母さんの3人家族みたいだ。姉は特殊な才能を持った自閉症だ。このことが父を仕事にのめり込ませ、母は姉に普通の娘になってほしいと思い悩む。それでも偏差値88の姉の日本語はオカシイのだ。姉は昔から人間嫌いだった。そんな家族が嫌で弟・洋司は家を出てしまっていたが、チベットで死んだ父が鳥葬をしたという話を聞いた洋司は家に帰ってくる。

    鳥に食べられた父と、姉を普通に結婚させて生きさせたい母、自閉症の姉、父にもっと家にいて欲しかった弟の家族の情景を表現した舞台。ワタクシは個人的にこういった物語が好みだ。父の気持ちも母の気持ちも、姉の気持ちも、弟の気持ちも解るからだ。それぞれの気持ちは痛いほど心に響いて、なんだか悲しくなってチクチクした。そしてじんわりと静かに泣いた。みんな、好きなように生きたらいい。そんな風に思えた美しい物語だった。



    「CARNIVALカーニヴァル」
    女は肉屋を営む。ちっさな町には楽しみなんてない。年に一回のカーニヴァルくらいだ。女は過去にカーニバルのサーカスの男に恋をした。カーニヴァルが終わると男は来年も必ず来るからと言って去って行ったのだった。カーニヴァルは幸せも不幸も持ってやってくる。

    あれからカーニヴァルは来てないが女には子供が出来た。しかし女は子供に、「貴女のママはカーニヴァルの歌手だから、貴女を育てられないの。だから私が預かった」と嘘をついて育て、その子は美しい少女となる。女は生きるために馬を殺し馬肉として売るが、少女はそんな仕事が嫌でたまらない。カーニヴァルがもう一度この町を訪れ、歌手のママがいつか自分を迎えに来てくれると信じ夢を見る少女。

    オルゴールの箱を開けると音楽を奏でピエロにマジシャン、カーニヴァルの歌手が歌い回転木馬は踊りだす。しかしその夢もカーニヴァルが来ればすべてが終わってしまうのだ。そのカーニヴァルが今年はやってくる。待ちわびる少女。しかし女は少女に本当の事を打ち明けるも、少女は「私がず~っと生かし続けてきた夢をおばさんが壊した。」と詰る。カーニヴァルは幸せも不幸も持ってやってくる。



    総括・・どの戯曲も素晴らしい。近すぎる「キョウダイ」の存在から離れたいと感じる心。墨絵を想像させるチベットの山々での優美な情景と現実を帯びた世界観の格差の「Sky Burial 天葬」。幻想の世界で生きる少女の「CARNIVALカーニヴァル」。、特に4人のカーニヴァル団が登場するさまは実に楽しい。

    この日は丸尾聡さん(世の中と演劇するオフィスプロジェクトM主宰)のトークの日だった。なんでも、モスクワカヌは丸尾の弟子らしいが、弟子のほうが師匠を上回る本を書くというのは珍しくない。

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    2010/09/03 14:46

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