実演鑑賞
満足度★★★★
ローレンス・オリヴィエ賞ベスト・ニュー・プレイ賞受賞作。
或る事故をきっかけに家族の結びつきを失った三世代家族の再生物語、そんな謳い文句である。物語は、日常のありふれた光景や会話を描き紡いでいるだけだが、次々と情景や状況が変わる。登場人物は、舞台上の違う場所(部屋)や時間をあっさり乗り越え 心地良く展開していく。公演の面白いところは、会話がちぐはぐで一貫性があるのか、場面を繋ぐ構成も断続的で統一性があるのか。その不完全とも思えるところが、物語の崩れかかった関係に重なるようだ。
物語は、2004年の晩秋もしくは初冬から翌年の初夏迄の約9か月間か。英国マンチェスター郊外のストックポードで暮らすホームズ家の三世代。夫々の夫婦の関係や子供との関わりを断片的に描き、場所は違えど同じ時を過ごしていることを語っている。物語は休憩をはさみ前半と後半、その空白の時間(休憩)に或る事故が起き、数か月間の時が経っているよう。休憩の前後で状況が変化、端的には衣裳に表れている。
日常の生活…ストックポートに行ったことはないが、多くの場面に酒とスポーツ(サッカー?)が登場する。それを会話の潤滑材として 世代間の意識や行動の違いを描く。例えば祖父母の場合、祖母が外出する際 祖父が俺の飯はどうするんだ。外出などするなと怒り出す。父母の場合は、当然のように母も働きに出ている。その息子たちは…その考え方や行動が冒頭のシーン。それにしても汚い言葉が所々に発せられて…。
(上演時間2時間50分 途中休憩10分)