東京アメリカ 公演情報 範宙遊泳「東京アメリカ」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    素の状態でトリップできる。
    良くも悪くもとにかくヤバイのを観てしまったな、とおもわず二ヤリしてしまった。
    物語はたとえるならば、家族とそれを取り巻く社会について書かれた現代口語演劇がぐにゃりと崩れて誰彼かまわず奇想天外なベクトルへアバウトにゆらゆら流れていくような。
    それを阻止しようとも、ロービートな変態テクノが鳴りはじめるとフラフラ踊り出さずにはいられなくなる、みたいな。
    歯止めのきかないディープでサイケデリックな世界だったのだけれども作品のなかで言わんとしていることがこちら側になだれこんできて。
    その感触はなんだかリアルを超えていた。

    ネタバレBOX

    東京都世田谷区船橋3丁目に住むとある家族の話を上演するために稽古にはげむ劇団員らと演出家の話。
    物語は劇団員らのドキュメントと上演する戯曲の劇中劇の二重構造を基本軸に、『もしも・・・』な視点が混在することにより、どこまでがアンリアルなのかわからないような構造になっていて、戯曲部分はある程度変更点があるとはいえ、ちびまる子ちゃんを踏襲している模様。(ただしこちらはアニメよりもずっとハイパーではあるのだが。)
    たとえば、ちゃぶ台を囲んでただ喋るのは退屈だから、ミュージカル調でいこう!と演出家が思いつくと、劇団員はそそくさと立ち上がり歌い、舞う。舞うどころか舞台を自由に這いずり廻る・・・。笑
    登場するキャラクターもなんだかやたらパンキッシュな面子ばかりで。
    ブルジョワのタマ子はまるこを買収して親友になろうとしたり。まるこの姉のオシリは木星人の彼を連れていたり。まるこの母さんは動物園の入場券食べちゃったりするそんなゆかいな人々が、日本を滅ぼそうとしているらしい海洋生物から逃れるために、タマ子の金でテキサスに逃避行したり、そうかと思えば選ばれし神の子であるらしいまる子が人類救ったり。そんなB級映画的なちょっとお粗末な戯曲を、繰り返し演じていくうちにその役を『ほんとうに生きすぎる』トランス状態のようになったまる子が、海洋生物を惨殺するシーンで用いる本物のレーザービームを演出家に向けて発射。

    その後は観客の望むような展開に切り替わるのだけれど、どこがラストシーンなのか、観るひとによって変わってくるんじゃないかと思える余白を残していることがちょっとおもしろいとおもった。

    演劇のォーマットに乗せればそこはどこにでもなるし、どこにでも行ける自由さというものをアメリカという巨大な像に向かって投げていたような感じがして、そういうのは挑発的でいいとおもった。
    ただ、家族が住む『東京』と家族の向かう『アメリカ』の間に流れている混沌とした何か。
    というものは、もう少し具体性を持っていてもいいような気がした。もちろん、格差社会をうたうポップソングだったり、まるこの飼ってる犬のチビがアメリカから飼い慣らされた日本の立ち位置を象徴しているように見えないこともなかったし、アメリカンナイズドなジョークで笑い飛ばしていかなきゃやっていけないほど、時代も人も行き詰ってるみたいなことは、演出家助手が終盤、生きてる実感について吐露する場面で感じられた。だからこそ仮面かぶって生きて行くのも、なんかもう辛い、みたいな大雑把にいえば東京(あるいは都市部の若者の間)で失われつつあること、失われたことで得られたことは、後ろ向きでもいいから、もっと言語化してもいいような気はした。

    もう一点、気になったのは、チケット代わりのお面の活かし方。一応、劇中にちょっとだけ話が出て来たけれど、装着しないと会場に入れないっていうくらい徹底してやった方が個人的にはおもしろかったとおもう。もし、装着するのをためらう客がいたら演出家役のひとだったりアシスタントが説得するとか、ね。観るひとすべてが海洋生物になりきった上でこの作品に参加する布石が敷かれていたら、一歩足を踏み入れた瞬間からファンタスティックな世界がはじまっていた舞台空間が殊更劇的に映ったかもしれないなぁ、と。

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    2010/09/03 01:24

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