許し 公演情報 avenir'e「許し」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    イタリア人の劇作家であり、avenir'eのメンバーでもあるダニエーレ・レオーニさんによる新作海外戯曲。
    いくつかの出来事から一家離散したある家族がミラノの町の片隅で再会、から繰り広げられる75分のノンストップバトル劇でした。
    (以下ネタバレBOXへ)

    ネタバレBOX

    どうしようもない父親VS捨てられた息子のバトルに始まり、かつて妹に手をあげた兄VSそれによって家を出た妹に繋がり、「そういえばあれも」「これも!」と対戦相手がどんどん錯綜してクロスバトルに転じていく。家族関係の歪みや軋轢がガシガシ、みしみしと、シリアスに迫りくる部分もありつつも、フリースタイルダンジョン顔負けの「許す/許すまじ」バトルシーンでは瞬発的に露呈する人間の情けなさや滑稽さに、こちらも瞬発的に笑ってしまう部分もあって我ながらひやっとしてしまったり。会話の積み上げによってバトルにアクセルがかかっていくのも、かと思ったら、ぽつりと長年言えなかった本音が一言溢されたことで急ブレーキがかかったりと、俳優が巧みな分だけそのドライブに相乗りせざるえない感触もあり、まさに振り落とされぬようしがみつくのみ、という感じだった。「そんな簡単には許せない」と「これさえあれば許せたのに」は表裏一体でその瀬戸際を見せられることで、観る者の感情もあちらこちらへと揺すぶられていく。どうしようもない父親を可哀想に思ってしまう一瞬も、そんな父を見限って再生しつつある兄妹の仲を清々しく思う瞬間もあって、自分の中にもたしかにある激しい感情の在処を見破られているような気がして動揺も。
    そんな観客に寄り添うかの様にバトルに慌てふためく他者の存在が一人あったことも劇のうねりにおいて重要だった気がする。
    文学座公演ではなかなか観られない柴田美波さんの目つきが見られたこともよかった...文字通り人が変わったようだった...!

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    2024/09/28 05:27

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