リング・アウト 公演情報 A.R.P「リング・アウト」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    面白い、お薦め。
    物語は、人の心情を繊細 かつ大胆に描き、笑い 泣き 笑いと観ている人の感情を揺さぶり続け 飽きさせない。男がアクシデントで失神し、目覚めると何と20年前の景色が広がっていた。そこで何を見聞きし、伝えたかったのか。客席は、爆笑したかと思えば啜り泣きがあちらこちらで聞こえる。

    「A.R.Pがお届けする異次元タイムパラドックスの新世界!」という謳い文句、その面白い発想に感心する。単なるタイムパラドックスものなら、他公演でも観ているが、本作では 更に異次元という捻りを加え興味を惹く。巧いのは大胆な描き方、場面の繋がりを描くのではなく、語りで場面間の橋渡しをする。それによって アップテンポだが丁寧な紡ぎになっている。
    (上演時間1時間40分 休憩なし) 

    ネタバレBOX

    素舞台、周りはARPの英文字が並んだキープアウトのようなイエローテープで囲まれている。場面に応じてホワイトボード等が搬入される。また客席の一部を特別リングサイドに見立てている。

    物語は、主人公 鮫島が2024年9月23日から2004年9月23日へ異次元タイムパラドックスして起こるドタバタ。そして20年前に落雷で亡くなった妻と不思議な邂逅をする。生前に伝えたかった事、第1に 色々ゴメン、第2に 娘を産んでくれてありがとう、そして一緒(結婚)になってくれてありがとう。本当なら 生きているうちに言いたかったがことが素直に言えた。この件が物語の見せ場<肝>であろう。
    プロレス団体WPWの看板レスラーの鮫島は、男手ひとつで娘を育ててきた。その娘が鮫島の後輩レスラーと結婚しようとしている。勿論 父 鮫島には内緒である。どのタイミングで彼を紹介しようか、その画策が面白可笑しく描かれている。

    亡き妻の20回忌法要、そして所属団体の経営危機、色々なことが重なり、そのドサクサに彼を紹介しようと…。しかし或るハプニングで鮫島は失神し意識は20年前に飛んでしまう。そして何故か妻の意識が自分の体に入り込む。同じ頃、WPW創立20周年で一大イベント(10月6日)を催そうと、しかも 倒産寸前でもある。単にタイムスリップしただけではなく、体と意識が入れ替わるという異次元ハプニング。心療内科でも対処出来ず、超次元研究所なる研究施設まで出てくる。色々な場面が次から次に現れるが、それを語り部によって簡潔に説明し場面を繋いでいく。そのため話と話の繋に混乱は生じない。

    娘は彼氏を紹介して結婚出来るのか、鮫島の体と心は元通りになるのか、無事にイベント試合が出来るのか、WPW団体は存続できるのか等、関心と興味を惹く出来事をちりばめる。それを面白可笑しく、そして涙を誘う観せ方で紡いでいく。一部の客席を 劇中観戦用の座席に見立て、対戦相手をそこへ投げ飛ばす豪快さ。まさに色んな意味を込めてリングアウトを使用した公演。
    次回公演も楽しみにしております。

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    2024/09/27 17:43

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