実演鑑賞
アマチュア劇団みたいだった。演者で良かったと思えるのはメアリー役。主演の2人は上手いは上手いんだけど、演じているのが気持ち良くなっている感が好きになれないんですよねえ。あと服装にはもう少し気を使ってほしいかなと。ラルフローレンのTシャツはないでしょ。あとシャツの裾を出していた人がいたけど、あの時代にそういう着方はなかったのでは?衣装にお金かけられないからあり物でというのは当然だけど、それくらいは直せるのでは?
ネタバレBOX
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2024/09/26 11:17
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2024/10/05 11:59
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舞台装置や音響照明等を使用せず、衣装も普段着に近い形で上演する、という形は、主宰の平澤智之が長年所属しておりましたシェイクスピア・シアターで用いられてきた舞台形式で、創業当時は“ジーパン・シェイクスピア”と言われ人気を博したそうです。私達キングスメンでも旗揚げ公演からそれに準ずるスタイルをとっています。(プロジェクタ画像投影のみしています。) シェイクスピア作品は書かれた時代に素舞台で演じられていたのでそのように書かれていますし、アーサー・ミラーのように近現代の劇作家はそれとは異なるものではあっても、脚本の力がこれほどに強ければ、特殊効果なしで役者の表現で舞台は確立すると考えられるからです。
衣装については上述の通り、時代や場所の設定を“17世紀のセイレム”とはもとよりしておりませんので、現代の服装を中心としています。厳密にいえば“おそらく現代に近い時代の、どこかの国、どこかの地域”ということが今回の設定です。それはアメリカなのかもしれないし、日本なのかもしれない、ただ遠い時代の遠い国、ではないことは確かであると、観客に感じてもらうことが肝要でした。そのためジャイルズはハッピを着ていますし、パリスやヘイルも牧師の服装はしていません。
ご指摘いただきました主役のジョン・プロクターがラルフローレンの「NEW YORK」とロゴの入ったTシャツ(しかし着古された感のあるもの)を着ているのは、(実際にはプロクターの服装は毎公演ごとにすべて異なるので、残念ながらあのシャツは一度しか着用されていないのですが)、田舎町の労働者である彼の都会への泥臭い憧れを示すものであり、見た目のスタイルとしても特殊性のない一般の男であることをあえて示したものです。昔の物語だから、古典的な作品だから、そのような恰好をする、という先入観を持って観劇に来られたお客様に、そのようなある種類の“違和感”を感じていただけたとなれば、狙いの通りであり、大変嬉しいご指摘です。
ヘイル牧師が四幕でシャツの裾を出していたことにまで気づいていただいて、ありがたく感じております。この人物は牧師としての意欲に燃えて来村し、裁判に臨み、そして終盤では心崩れて嘗ての自我を失っています。その心の崩れたさまを、“シャツの裾を出す”という気づきにくい点によっても表現しておりました。そのような細部にまで目を向けてくださったこと、興味深く拝読いたしました。
また、メアリー役の役者について、お褒めの言葉をいただき、心より嬉しく思います。演技が素晴らしいだけでなく、彼女の努力や生き方は私達も頭が下がるほどで、このような立派な役者さんが表舞台で活躍していける世の中であってほしいと、ずっと願ってきました。その彼女に、温かい評価をくださったこと、主催者側として本当に嬉しく思います。ありがとうございます!