実演鑑賞
満足度★★★★
A
第一幕95分、休憩15分、第二幕70分。
吉田拓郎っぽい曲、「その日の名前は“決して来ない”」が印象的に使われる。
新生俳優座!伝統もプライドもかなぐり捨ててガチで生き残りに賭けてきた感じ。全面的に支持する。老人相手の慰問交流会じゃ演ってる方もつまらないだろう。とにかく面白い作品を胸を張って客に届けて欲しい。「これでどうだ!」と自信を持って。
桐朋学園芸術短期大学創立60周年記念事業として、19名の学生が参加。これが功を奏している。新鮮なエネルギーが漲ったステージ。上手サイドでアンサンブルの学生達が様々な小道具を使って効果音を出していく。下手サイドでも複数のワイングラスを使って音を出していたようだがそれはよく見えなかった。
中国・四川(スーチュアン)省が舞台。貧困に喘ぐスラムのような町。貧しき水売りのワン(渡邉咲和〈さわ〉さん)は3人の神様が下界に降りて旅をしている噂を聞き、町の入口で待ち続ける。やって来た彼等は東方の三賢者のようなイメージで白いクルタ姿、上田雪矢氏、中寛三氏、伊東達広氏。「人間界にどれだけまだ善なる者が残っているのか確かめに来た」と言う彼等。一晩泊まる宿を所望され、町を駆けずり回って探すワンだったが皆に断られる。やっと快く了承してくれたのはお人好しで有名な卑しき娼婦シェン・テ(森山智寛氏)だけ。3人の神様は彼女の善性に感動し御礼として大金を置いていく。シェン・テはその金で珈琲豆店を開くことに。だが次から次へと彼女にたかってくる無為徒食の連中に悩まされ、シェン・テの善性はどんどん追い詰められていく。
狂言回しの渡邉咲和さんがステージ中を大疾走、漫画のどろろみたいな元気っぷり。
クズっぷりが似合う八柳豪氏も魅力的。
神様の一人、上田雪矢氏もいい配役。ADHDっぼい頼りなさ。
MVPは勿論、主演の森山智寛氏。冷徹なる筧利夫的なクールビューティー、『リベリオン』みたいな衣装。
長さを全く感じさせない工夫に充ちた面白さ。他のヴァージョンも観てみたくなった。
是非観に行って頂きたい。