カンキの歌 公演情報 演劇企画アクタージュ「カンキの歌」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★

    池袋演劇祭参加作品、典型的なスラップスティックコメディ。
    物語は、或るタワーマンションの隣接ビルの半地下で合唱練習をしているところから始まる。タイトル「カンキの歌」の通り、上演前からベートーヴェン交響曲第9番<合唱>第四楽章の音楽が流れ、高揚感を煽るが…。
    分かり難いのは、時間の流れと色々な問題を詰め込んで、核となるテーマが暈けたこと。

    説明にある親戚知己の合唱は、次第に強烈なテンションで不協和音を響かせ とあるが、そこに潜む問題の数々を怒涛のように収拾していく。なぜ、どうして という謎、取っ散らかったような話を最後にまとめて解決する展開が、少し強引に思える。
    (上演時間2時間 休憩なし) 

    ネタバレBOX

    舞台美術…全体的にカラフルで 床は市松模様。中央奥は白い壁 棚に本が並んでいるが、その奥には別部屋がある。上手は階段、その傍にソファ。下手はカウンターと腰高スツール、観葉鉢。上演前から女子高生が談笑している。他の住人たちが来るが、そのたびに落ち着かない。既に、この段階で物語は始まっている。

    冒頭 合唱練習は、音程が揃わないため 指揮者が「1時間休憩する」と。この台詞が重しに感じられた。物語はこの1時間の中で紡がれたものか(1時間の出来事を2時間かけて上演か)、日を跨いだ数日間のものか 判然としない。後々解ってくるが、テーマは親子愛や会社・地域の人間関係の機微を描いたもの。しかし関係あるのか否か、色々な出来事を詰め込みすぎて その回収が強引のように思えた。

    女子高生の1人が、母親の過干渉が煩わしくて3カ月間家出をした。それを探偵を雇って探す。同時にタワーマンションに住んでいる人々、実は同じ会社の上司部下もしくは先輩後輩の関係だったりして、その妻も含めて付き合い方が難しい。タワーマンションの(上)階数が優劣を表す。ちなみに最上階は社長夫妻(登場するのは夫人だけ)が住んでいる。更に住人男性が女子高生を付け回す(ストーカー行為⇒誤解)、不倫を匂わす、毒殺(フェイク)騒動など、何となくの関係性を持たせているが…。理屈で観ては面白くないが、小話が散らばり、肝心のテーマらしきものが暈けた。

    母親のどんな過干渉が我慢できずに家出したのか。母親が探偵を雇ってまで という心情は描かれているが、一方 娘の思いが伝わらない。同時に他の女子高生の過去エピソードが描かれている。その意味で、親と子(女子高生達)の情愛をもっと掘り下げて、劇的な歓喜の歌声を聞かせて欲しかった。
    次回公演も楽しみにしております。

    0

    2024/09/20 17:29

    1

    0

このページのQRコードです。

拡大