旬の観たいもの展2010 公演情報 旬の観たいもの展「旬の観たいもの展2010」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★

    到達点はわかるものの…。
    『旬の観たいもの展2010』参加作品、天然果実「Water-Cooler」観劇。
    回想形式で謎に迫るサスペンス・ホラー。
    目指していること、到達点は何となくわかるものの、
    ”その日起きたこと”自体にフォーカスされているためか、心理劇を期待するとやや物足りない印象。
    照明、衣装、音響、ダンス、衣装などのヴィジュアル的な演出効果をみている分には楽しめる。
    役者さんが全員カワイイです!

    ネタバレBOX

    真っ暗な地下室のような密室に学生服を着た女が6人。
    外には出ることができないらしい。
    彼女たちの手には、それぞれピストル・ロープ・ナイフなどの凶器が握られている。
    何故彼女たちはここにいるのか。どうしてこの6人なのか。
    少しづつ記憶をたぐり寄せ、共通項を探し出す。
    そして浮かび上がるひとつの出来事・・・。

    それは10年前、彼女たちが16歳だった頃にさかのぼる。
    秋。文化祭前日にプールサイドで誰かが死んだ。
    彼女たちはそれを誰だか思い出せない。
    ひょっとして・・・・・
    誰かの・・・・呪い・・・・??

    公演中なので、これ以上の租筋のネタバレは自粛しますが、
    最後の一行がこの作品を物語るキーワードであることは確かであり、
    それがすべてといっても過言ではない話であったとおもわれます。

    とにかく、自分以外はみんな敵。
    真犯人は誰だ?の探りあいが主なのですが、
    この探りあいというのが、心理的な面から発露するものではなく、
    気が違ったのか混乱したものたちは、自分を守るために殺し合いをはじめる、
    というような、考えるよりまずは行動してみる!
    なので、ホラー映画的な流れではあります。(血しぶきは一切出てきませんが)

    ビジュアルイメージ的には、大槻ケンヂのステーシーに近いですね。
    目の周りを黒くしたメイクとかちょっとひとクセある学生服とかゾンビ・ダンスとか。
    『殺し合いをする』という意味では、バトルロワイヤルっぽいかもしれません。

    ちょっと残念だったのは、彼女たちの『儚さ』が描かれていなかったこと。
    そして、『あの日』彼女たちは何をしていたのか。どんな気持ちでいたのか。
    どんなことを考えていたのか。など、
    彼女たちが一緒に過ごした『あの日』以外のある種ノスタルジーのような思い出や、
    『なぜ』あのひとが死んだのか。
    『なぜ』あのひとは憎むのか。という気持ちの面がわからないまま、
    『コロス!』 『シネ!』のオンパレードでしたので、
    彼女たちの憎しみや殺意が一体どこからやってくるのか謎でした。
    『猟奇的』ではあったかもしれませんが。それは『狂気』ではなかったですね。

    『誰かが』真犯人もしくは『誰もが』真犯人であるという可能性に重きをおいてひとつのキャラクターに統一させて『わからなく』していたのかもしれませんが。
    あるいは、すべては真犯人が妄想した多重人格とか!?
    もし仮にそうであったとしても、ビジュアル的な紛らわしさがあっただけで、心理面での差異はイマイチわかりませんでしたね・・・。
    それに、殺人者には、殺人者なりの正義や論理が犯人自身のなかでは一本筋で貫かれているようにもおもえるのですが・・・。
    (たとえ犯行の動機が『むしゃくしゃしてやった。』ということが前提であったとしても)
    その辺りの描写がないがしろにされたまま、終盤はなんだか『それっぽい』形骸化されたイメージ映像が続くようで、イマイチしっくりきませんでした。
    雨の音と暗転時の照明の効果、空間に奥行きのある演出はすてきでした。

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    2010/08/26 00:46

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