アウコトバ 公演情報 風花水月「アウコトバ」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    飢愛の狂想曲
    主人公・吉崎を軸に子どもを保護する養育施設での出来事を綴った物語。これは単に施設での情景を綴ったモノではなく、これから起こりうる未来への警告とも取れそうな内容。ここに関わる人たちが人間らしい人たちであればあるほど破綻に向かって進んでゆくさまの描写がお見事!

    以下はネタばれBOXにて。。

    ネタバレBOX

    吉崎は過去の結婚生活から始って血のつながりのない子供を育てた経緯から、家族とか学校とか、社会とかを深く考えるようになる。そんな想いから福祉センターに勤めていた吉崎は、このセンターの子供に対する扱いを疑問に感じ、退職し、新たに社会貢献事業を展開している民間企業に就職する。

    しかし、ここも蓋を開けてみれば養育希望者と研究所にいる子供の橋渡しを行っている人身売買と変わりないビジネスだった。地域へのバックアップと言いながらも、子供をお試し期間と称して、ホームステイをさせて、組み合わせ(適性)が悪かったならば、子供を返却させて新たに別の子供をレンタルさせる、という仕組みだ。

    これに反対し異議を唱えていた吉崎だったが、ビジネスとしての能率を考えたなら綺麗ごとばかり言っていられない、と吉崎を説得する遠野と内村だったが、そんな折、レンタルされた子供・かすみが殺害されそうになって施設に戻ってくる。犯人は子供をペットとしか見ていない黒田だったが、このことがあってから、吉崎はこの施設も「やっぱり救えなかった・・。」と独り言のように呟いて退職してしまう。

    血縁を重んじる日本の風土を風刺しながらも、子供にとっての世界の全てが母親だと言う事実にも触れ、更に、生んだ子供への責任を追及する情景も加味しながら、単に1時間と言う短時間での物語りな割に、内容は重く、中身の濃い充実した作品だったと思う。

    終盤になって施設を訪れた吉崎は「子供が安心して暮らせる村を作るから、ここの子供たちを全部、自分にくれないか?」と遠野に詰め寄るが、その表情は既に思い余って気がふれたような表情だ。理想郷ほど現実離れした郷はない。

    ここでのアウコトバとは、「児童保護法」とか「児童保険法」よりももっと合う言葉はないかなー?から。

    素晴らしい舞台だった。キャストらの演技が確実で魅せられた。本も短時間でこれだけの濃い内容は、疾走に近い情景で観ていて、あっという間だったが、その模様はたぶん、忘れない。

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    2010/08/22 17:47

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  • YOR>
    コメント、サンクス。
    実に素晴らしい舞台でした。
    過去に観た舞台とは打って変わってのスパイスに見事にはまりました。

    >「疾走に近い情景」このように言っていただき~感無量です!!

    ええ、1時間の舞台でこれだけの内容の盛り込み方だったなら、どこに出しても恥ずかしくないと思います。(太鼓判!)
    終盤、破綻するかのように見せて、はっきりとは触れてなく、それでいて確実に観客には訴えるものがありました。演技力でも魅せてくれましたが、それ以上に脚本力が勝っていた。

    ほんと、素晴らしい。。
    でもって、このイヴェントの出演劇団のレベルの高いこと!後半のイヴェントもワクワクドキドキですわ。(^0^)

    2010/08/26 12:04

    ご観劇とコメントを有難うございました。
    「疾走に近い情景」このように言っていただき~感無量です!!

    これからも社会に対して敏感でありたいと思います。
    今後とも宜しくお願いします。
    上松

    2010/08/26 02:17

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