吐くほどに眠る 公演情報 ガレキの太鼓「吐くほどに眠る」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    上質な演劇作りに、快感を覚える
    まず、この劇団、この暑い中、遠くまで、足を運ぶ観客の思いに立って、いろいろと心配りが行き届く、制作さんの態度からして、大変好感が持てました。
    前日に、詳細な道順案内をメールで頂いた上、何と、この暑い中、最後の、劇場に曲がる道の端に、看板を持った女性が立って下さっていました。
    受付を済ませ、まだ開場まで時間があるので、外で、待とうとしたら、「開場はまだですが、お暑いので、ロビーにどうぞ」と声は掛けて下さるし、座席の座布団を背もたれと思い込み、座っていると、「これは座布団ですので、どうぞ敷いてお座り下さい」と教えて下さるし、最近、あるまじき、ある劇団の話を聞いたばかりの私は、それだけで、この劇団への期待感が更に高まりました。

    さて、芝居の方は、女性だけの出演が、実に効果的な、脚本構成、演出で、また改めて、舘さんの類稀な才気に感嘆しました。
    ほぼ、全てが、非の打ち所のない出来栄えで、演劇としての、完成された職人芸さえ感じます。

    感想は、驚く程、アキラさんに酷似していますので、ここで、自分が補足する必要さえ感じない程ですが、ネタバレで、若干自分なりの感想を書いておこうと思います。

    ネタバレBOX

    何かいわくありげな主人公のモノローグで始まる芝居。
    この主人公の語り口が、カウンセリングルームで、実際耳にしそうな、抑揚、内容、話の持って行き方なので、まだ何があったかも知らない内から、既に、観客はすっかり、このストーリーの中に、気持ちが取り込まれて行きます。

    アキラさんが書いていらっしゃるように、一人の役を、誰もが入れ替わり立ち代り演じるのに、何の違和感もなく、観ている気持ちが一瞬も、現実に引き戻される隙がないのは、驚嘆します。

    誰の役は誰と、当パンに書きようがないので、私も、どなたのお名前もわからないのですが、子供時代の主人公を演じた女優さんと、アキラさん同様、結婚式で祝辞を述べたり、付き合ったたくさんの男達とのエピソードを、どんどん、服を脱ぐ中で、表現して行く、女優さんの演技は、特に心に残りました。
    もちろん、モノローグを一人語りする女優さんの技量は、特筆ものです。

    父と兄以外の男性が、全てお面をつけているのも、この作品の表現方法として、実に名案な上、その面が、西洋の芝居の仮面ではなく、ひょっとこや、大黒天など、純和風のお面なのも、気が利いています。

    私自身、演劇部の仲間と、もう40年以上の付き合いで、家族以上にお互いの心の内を知り尽くしている友人がいるので、この芝居のブラスバンド部のメンバーの様々なエピソードが、まるで、自分の体験のように、感じられ、何度も、胸熱くなるシーンがありました。

    一応プロの喋り手だったのに、その友人の祝辞を読む時、ぼろ泣きして、話が支離滅裂になった経験もあれば、前半部分の、兄と妹のストーリーは、自分が23歳で書いた佳作を頂いたシナリオに酷似していて、まさにかつて自分が創り上げた主人公に重なる部分が多くて、その作品を追体験するような感覚もあったりで、どこかしこに、見覚えのある感情の波が、観る側の心の襞に吸い付くような、擬似体感がありました。

    人間、自分の思うようにはなかなか生きられず、家族への思いも、自分なりにはたくさんあるのに、それが相手にはうまく伝わらずに、平凡な筈の普通の家庭にも、少しづつ、歯車のずれて行くような、悲劇の種が芽を伸ばし始めて行く…。その、哀しい家族の有り様が、実にリアルに、気持ちを侵食して行きました。

    でも、それだけに、アキラさんも書いていらっしゃるように、あのラストだけは、納得が行かない気がしました。
    作品としての不備と感じたのではないのですが、自分的には残念な感じ…。
    それまで、数々のエピソードや台詞に、自分の過去の想いを、様々投影して、観ていただけに、あそこで、あー、これ、虚構のお話だったわと、一気に、気持ちが現実の客席に引き戻されてしまったような、不思議な残念感がありました。


    それと、個人的に思ったのは、先日の次男の結婚式の後、次男が、優しい兄に車で荷物を運んでもらえないかと言った時、「寝不足でお兄ちゃんが、事故を起こしたら、あなたは、一生後悔するよ」と、次男を説き伏せて、辞めさせて良かった!!ということでした。

    本当に、いつどこに不幸の種が転がっているかわからない、人間の世の常。それが、巧みな作劇で、観客の心を鷲づかみにするような、素敵な舞台作品として、映し出されていて、お見事でした。

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    2010/08/21 20:44

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  • 鈴木雄太様

    あれ、言われなければ、絶対、背もたれと信じて疑わなかったと思います。だって、布団は立てかけてあり、椅子にはチラシが置いてありましたものね。

    でも、敷いてと言って頂いた後も、やはり背もたれにすべきかもとか結構自分の中で悩みました。あの椅子で、後30分長かったら、ちょっと辛かったかもしれません。(笑)

    でも、劇場の雰囲気は本当に素敵でしたね。番外公演候補地になるのでは?

    アキラ様

    今、相当酔いが廻っていますので、後で、正気になったら、コメントさせて頂きます。

    2010/08/22 22:40

    僕も背もたれにしてしまいました…。

    下らないコメントですみません(笑)

    2010/08/22 09:54

    >あのラストだけは、納得が行かない気がしました。作品としての不備と感じたのではないのですが、自分的には残念な感じ…。

    そうですね。
    「まあ、そうだろうね」と気持ちの上では「納得」はできるのですが、主人公とともに、彼女の歴史を見てきた者としては、心情的に「納得」できないというか、そんな感じでした。

    彼女の中だけで、物語が完結してしまうのではなく、「赦し」によって、他者との関係性を観たかったと思うのです。

    そういう意味で、私が思ったのは、現在の彼女と、彼女の過去を演じている役者さんたちは、舞台の上では接触がなかったので、彼女が台に上がったときに、彼女以外の全役者が、つまり、彼女にかかわった全部の過去が、彼女の側に立ち、彼女を無言で押しとどめる、なんていうふうだったら、私は心安らかに会場を後にすることができたように思えるのです。

    もちろん、そうじゃない現実を突きつけることが、作者の意図であったのかもしれませんが。


    >座席の座布団を背もたれと思い込み、座っていると、「これは座布団ですので、どうぞ敷いてお座り下さい」と教えて下さるし

    ああ! そうだったんですか! 私もてっきり背もたれかと思い込み、そのままにしていました。なんだか座わる面の面積が少ないなあ、と思ったのはそのせいか!(笑)。


    >先日の次男の結婚式の後、次男が、優しい兄に車で荷物を運んでもらえないかと言った時、「寝不足でお兄ちゃんが、事故を起こしたら、あなたは、一生後悔するよ」と、次男を説き伏せて、辞めさせて良かった!!ということでした。

    凄いリアルで似たような状況でしたね。舞台でそのシーンのときに、さぞ、ひやりとしたことでしょう。何もなくてなによりでした。

    2010/08/22 06:27

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