ぼくの好きな先生 公演情報 enji「ぼくの好きな先生」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    鮮やかによみがえるいじめの記憶
    タイトル、フライヤーからは想像のつかない、いじめをテーマにした本作。
    コメディタッチであるがゆえに、浮かび上がるいじめの悲惨さ。
    見事な作品であった。

    ネタバレBOX

    主人公は34歳の教師。
    教師には中学校時代の同級生のフィアンセがおり、彼女に懐妊を契機に同居、結婚を控える。
    そんな彼には、忘れえぬ記憶がある。
    それは、中学校時代、一時期親しくしていた同級生をいじめが原因の自殺で亡くしてしまったというもの。主人公はいじめには加わることなかったものの不作為によって彼を追い込んでしまった。
    亡くなった同級生は頻繁に彼のもとに、亡くなった中学生当時の姿で現れる。彼は時に主人公をなじり、時に今ってほしいかのようにじゃれてくる。
    実はそのような体験は主人公だけではなく、主人公の妻も共有していた。彼女の元にも、彼はときどき姿を現していた。

    また、主人公には、空想癖があり、あるとき、彼の部屋で、「世界教育者会議」と題する教育者の集まりが催され、主人公の敬愛する「先生」たちが、次から次えと搭乗する。コルチャック先生、宮沢賢治、「いまを生きる」のジョン・キーティング、坊ちゃん、など。
    その会議の題材はいじめ。

    そこから、いじめを巡る旅は始まる。
    主人公夫妻、亡くなった少年、そして、主人公同級生それぞれの、いじめ、いじめられ体験が再現される。

    衝撃的だったのは、それらの再現を見ている最中に、自分自身のいじめ、いじめられ体験が鮮やかによみがえったことである。
    演劇を見ていてこれほどの追体験をしたことは始めてある。
    見事の一言である。

    今後も、このような良質な作品を作り続けていただきたい。

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    2010/08/21 14:04

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