満足度★★★★★
ゴシックパンクなチェーホフ。
チェーホフの戯曲が素晴らしいのはわかるのだけど、チェーホフってなんとなく辛気臭いというか、もさいというか、一般教養としかみなしていない節があったのだけど、そんな考えが一気に吹っ飛んだ。チェーホフっておもしろい!とはじめておもった。
寺山修司のアングラ演劇のようなドロリとしたテイストを基調に西洋劇を斜めから考察したような振る舞いや、神輿をかつぐ日本の祭りの高揚感、ゴーオンジャー的ヒロイズム、さらにはブレイクダンスや組み体操まで巧みに取り入れ、それらをビジュアル系バントマン風男子と超美系のパンキッシュなゴシックガールで引き締めけなげなオカマで味付けし、殊更ナンセンスに舞台空間を暴れ回る。
無論、傍若無人ではあるのだが、演劇の作法と原作の基本はしっかりと抑えていることが私のような素人にも一目でわかる。つまり、ブレてないし、破綻もない、緻密に計算された破壊行為なのである。
そして、おきまりの(?)カタルシスやゆるぎないカオスもある。けれども決してうぬぼれで終始しておらず、ちゃっかりエンターテイメントとして出力されているから、ヤな感じがまったくしない。
今まで観た舞台のなかで最も衝撃的だったのは、バナナ女学園とロロだったけれどこのふたつを軽く飛び越えましたね。(少なくとも私にとっては。)
大槻ケンヂの小説が好きなひとなんかにはきっと気に入ってもらえる世界観なのではないかな、と。
本公演が待ち遠しい。
※渋谷ギャラリーLE DECOで開催中の『旬の観たいもの展』に参加している『劇団ING進行形』と『楽園王』は2団体がひとつの回で連続上演します。2作品に関連性はなく、違った趣を楽しめますよ。
2010/08/21 01:38
髪の毛長い男(26歳)です。
ING進行形の代表で、演出やってます。
あまりにも、自分の掲げていた理想到達点に近い、ご感想に驚いております。
そして、改めて勉強にもなります。
楽園王+さんのお芝居が素敵すぎて、
その余韻を一瞬にして壊してしまうかのような、ある意味強烈な、真逆の芝居。
ましてやたった18分。
辛らつな感想を受け入れる覚悟があっただけに、本当に嬉しいです。
リアリズム(日常的な)芝居とはかけ離れているため、
賛否は湧きますし、
もっと台詞回しや身体表現も磨かねばならないと思っていますが、
今出来る限界値を超える勢いで、演劇活動をしております。
最近は少し、修行のために、古典をやっており、
9月30日(木)には
OM-2という凄い劇団様と、僕らING進行形と、もう一団体と、
計3本立てでお送りするイベントが
神楽坂die pratze(ディプラッツ)という劇場であります。
我々はそのとき、
この間シアターΧという劇場で発表したチェーホフの「かもめ」を再構築します。
あの長い作品を、うまーく30分以内の、ダンスのような動きを取り入れた演劇に仕立てあげます。
オリジナル作品ではありませんし、本公演ではないのですが、
今回の作品とはまた少々違ったテイストになるとは思いますが、
そのときになったら、チケプレを実施予定です。
もしご都合がついたり、ご興味がございましたら、是非、お越しくださいませ。
P.S.
利賀での「コーラス・ガール」の写真は小さいですが、こちらに11枚ございます。
http://stage.corich.jp/stage_photo_list.php?stage_id=22802