『CHORIKO』 チョリ子 公演情報 anarchy film「『CHORIKO』 チョリ子」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    アングラカラーの強い作風
    唐十郎の作品かと勘違いしたくらい作風が似てる。まさにアングラ。キャバレー跡らしい客席と舞台を上手く利用しており、作風にこの箱が妙にマッチして情景を醸し出していた。構造上、舞台が長方形に長いのをまた、見事にセット化し中央に座ると物凄く楽しめる。主役は障害者という設定だが、脚本家のメッセージには障害者を失敗とみている健常者のほうに実は問題がある。という意図があり、その問題意識に感動して泣けた。

    素晴らしい舞台だった。

    以下はネタばれBOXにて。。

    ネタバレBOX

    オヤジ狩りのシーンから始まる舞台は秩序のない暴力化した地域でのお話。ここに息づく彼らは自らの世界観を作り上げている。

    不思議な能力を持った韓 倁代李(ハン チヨリ)と韓 樹奈子(ハン ジュナコ)。しかし彼女らの母は家族を置いて出て行ってしまう。しばらく3人で暮らしながら「ハン チヨリの名前に子がついてないと女の子みたくないから子をつけてあげて。」とのジュナコの訴えに「チヨリ子」とチヨリの背中に刻んだ父。そして父も同じく二人を置いて出て行ってしまう。「ここで父を待っていろ。」との言葉を残して。

    だから二人は運転手だった父、韓 颯馬が残していったトラックの荷台で生活する。二人が住んでる場所はなんだか韓国タウンのスラム街のような湿った匂いのある風景だ。そうして住んでる人たちは異人も異人、特殊な人たちだ。そうして障害者やイッチャッテルような面々も居る。そんな欝な場所を隠すかのように地図に載ってない場所でもある。

    ここを舞台に男の借金の為にフーゾクで働く貴子、その貴子を毎晩のように抱くフーゾクのオーナー青木、そしてこの青木がチヨリ子と ジュナコ父、韓 颯馬であった。この物語はチヨリ子の生きてきた記憶を基に、作家になりたい青年、星乃 琥太郎が書き写したものを描いてるようだ。

    この地域では一般の法なんて成立しない。独自の法則で独特の治安が守られてるなか、ここで暮らす人々は「理想の世界」を夢見る。その「理想の世界」とは誰もが差別をされない幸せに暮らせる理想郷だ。しかし、ひとたび人が暮らせば多少のもめごとはつきもので、ここでもいざこざが起きて内乱によって発砲騒ぎになってしまう。

    これを聞きつけた当局は異常地域の全員を囲い込み射殺という戦乱のさまとなるが、チヨリ子は千尋と一緒に他者から守られて生き延びる。

    この物語で透けて見えたのは排他的な扱いを受ける異常地域、つまり異常者と健常者の関係だ。だから、説明の最後の苦言、「 …はぁ…我々の事を健常者だとか異常者だとか 判断するー中略ー… だからっ! キサマらが失敗なんだよっ!」となるのだろう。

    だから、ただのアングラやアナーキーだけではない、真面目で真摯なメッセージ性を感じ、う~ん。。と唸ってしまったのだ。
    この最後のメッセージで、なんだか幽霊屋敷を観ているような物語だったのがひっくり返って、壮大な物語になるのだから、舞台って面白いじゃないか!



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    2010/08/17 15:32

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