迷子 公演情報 WItching Banquet「迷子」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    迷子は、道に迷った そのままの意味であり、心の迷い 人生の迷いでもあるような物語。
    梗概は、説明にある通りだが、ストレートプレイに歌唱シーンを挿入し 敢えてミュージカル風にしたことに違和感を持つか否かで評価が分かれるかもしれない。自分は、前作「AIRSWIMMING-エアスイミング-」も観ており、この団体の特長と好意的に捉えている。

    初めて行った劇場-Half Moon Hall-下北沢駅 徒歩数分にある豪邸の地下にあるホール、音響設備が整っているため 使用したのだろう。生演奏が心地良く響き 優しく包み込むようだ。当日パンフにオリジナルのMusical Numbers 16曲が紹介されていたが、それとは別に最初と最後は「家路」(ドヴォルザーク交響曲第9番第2楽章)が流れ哀愁が…。勿論それにともなって照明の諧調を行い印象付ける。

    苦悩や悲哀によって自暴自棄に、そんな時に偶然出会った人の縁によって…。この人々の心情の衝突と寄り添いが物語の肝。物語はストレートだが、演出は舞台美術を始め音楽・照明といった舞台技術に工夫を凝らす。全体的に丁寧な創作をしているといった印象だ。
    (上演時間1時間40分 休憩なし)【夕陽の丘side】6.30追記

    ネタバレBOX

    舞台美術は、平板台を変則的に積み重ね その段差によって情景・状況の変化を表わす。同時に役者の動きに躍動感が生まれる。演奏者は上手にReed、下手にPiano。ちなみに演奏者の衣裳は黒衣のようで、まさに黒子に徹している。

    見知らぬ街をさ迷い歩いた末、現在地が分からなくなった女 真紀、その彼女に声を掛けたのが香子、この2人の偶然 いや必然的な出会いから始まるヒューマンドラマ。
    香子の家族は、夫は出奔、長男 堅一は東京で働き、次男 智哉は軽度の知的障碍者、そして自身は統合失調症に悩まされ 皆バラバラで崩壊寸前。壊れそうな家族を繋ぎとめようとする長男の苦悩、そして打開策を模索するが…。
    一方、真紀は夫の浮気で離婚、一人息子を必死で育ていたが仕事のストレスでアルコール依存症になり、元夫に親権を奪われ 孤独と自責に苛まれていた。

    1人ひとりが抱えた悩み、しかし1人では解決できない問題も 寄り添い 労わり合う、といった優しい気持で乗り越えようとする。予定調和のような気もするが、そこは人の心根を信じたい。
    家族をサポートする家政婦 登紀子(歌唱)、香子の脳内で囁くVoice(ダンス)、その次元の異なる存在が 現実と虚構を表しているようで面白い。精神的なバランスを崩しかけた家族、その渦に一石を投じる形となった真紀…愛情・孤独・優しさを主題にした珠玉作。

    観(魅)せる演出は、第一に音楽・歌唱(スタンドマイクも使用)、そしてヒーローの映像、椅子を逆さにして花瓶に見立て花(金木犀)を活けるといった工夫と小物等で楽しませる。このホールならではの至近距離ゆえのサービスか。
    ちょっと不自然に思えたのが、Voice以外の役者は全員同じ白靴(ゴム底)を履いており、滑らないため(観客もスリッパに履替えるのと同様)か?
    次回公演も楽しみにしております。

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    2024/06/28 18:05

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  • ご観劇いただき有難うございました。
    追記お待ちしております。

    2024/06/29 07:04

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