きく 公演情報 エンニュイ「きく」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    未見の団体、そして「CoRich舞台芸術まつり!2023グランプリ作品」ということで興味をもって観たが、自分にはよく解らなかった。いや説明を読んでいたからだと思うが、描こうとしていることは何となく分かる。

    タイトルの<きく>ことを色々な方法・手段で表現しようとしているのだろうが、今まで観てきた作品と違うため戸惑う。今では、このような作品が好まれるのだろうか。
    (上演時間1時間30分 途中休憩なし)

    ネタバレBOX

    舞台美術は、正面後ろにスクリーンが3枚。その前に横並びで箱馬がキャスト分並んでいる。天井や壁には手作りのモノが吊下がり 貼られている。シンプルな空間だが、展開に応じてスクリーンを上げ、箱馬を動かし場転していく。ここは何処で、集まっているメンバーの関係性は、といったことは判然としない。

    冒頭、横並びの箱馬に座って たわい無い話を小声でしているが、1人の男が突然大声で「母が癌だった…」と話す。東京で働いている男(息子)、広島にいる病気の母、母子家庭で頼る親戚はいない。その彼に向って母の介護は大切と諭すメンバー。「そんな事は解っている!」、しかし遠方・仕事・経済など八方塞がりの状況だから苦悩しているのだと。彼の状況には同情するが、解決策は見出せない。この時点で彼は自分の心情は解りっこないと拒絶している。

    そのうち 別の話題へ移行し、<きく>について次から次に色々なアプローチをする。夫婦で行っているゲーム、長大な筒を耳に当てた何らかの競技など、雑然とした情景が繰り広げられる、といった印象である。この場面を煽るのが撮影しているスタッフ。実はキャストの1人になっているよう。そして照明とは別にキャストをスクリーンへ、更に角度を変え上手の壁にも映し出し 多くの人が存在しているような錯覚(混沌とした世界観)を演出する。場面によっては、キャストが1人ひとりバラバラに喋り 会話が成立しているのか否か。いや物語における会話ではなく、日常の雑踏の中で知らぬ者(同時に多人数)が勝手に喋っている光景か。その意味では舞台という虚構性ではなくリアルな現実世界を描いているのかも知れない(台本通りorアプローチか?)。

    通底しているのは「母が癌だった」である。<きく>という行為の真剣度、それは意識的か無意識かといった違いで、大きく違うのだろう。親身になれなければ 実際は聞いていないに等しい。<きく>は<きかせる>と対になり、男が初めの段階で拒絶しているよう。だからこそ <きく>人たちの会話が漂流し始めるのではないだろうか、と勝手な解釈をしている。
    次回公演も楽しみにしております。

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    2024/06/21 00:29

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