白き山 公演情報 劇団チョコレートケーキ「白き山」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    昨年の「ブラウン管」でおや?と思った劇チョコがフェアウェイに戻ってきた
    やはり彼らの永遠のテーマは観る者に戦争(に向かわせる「体制」)という不条理を再認識(あるいは若者にとっては認識か)させることだと思う
    今回は歌人斎藤茂吉もその軛から逃れられなかった状況を描きながら、戦後間もない混乱の中で国民がいかに多大な苦労を背負わされていたか、どんなに大きな傷跡(心の)が残っていたかを浮き彫りにしていた
    村井國夫が体調不良により降板し、緒方晋に交代したが、そんなことはみじんも感じさせない演技だった
    彼が演じる斎藤茂吉は当時今の自分と同世代
    戦時中に「戦争詠み)」と呼ばれる戦意高揚の短歌を詠んだことで、敗戦後「戦犯歌人」と罵られることになり、歌が詠めなくなっている
    そのジレンマや、息子たちへぶつける怒りを味のある演技で描いていた
    いつも客演女優が素晴らしい演技を見せてくれるが、今回の柿丸美智恵は流暢な山形弁(途中突然標準語に切り替え爆笑)を操り痛、秘めた悲しみを明るさでかき消したくましく生きる農婦を飄々とした演技で見事に表現していた
    劇団員3人は安定の演技
    特に心に残る場面2つ
    〇 西尾が父である緒方(茂吉も医師)に、軍医として行った仙台の病院で、赤ん坊を背負った傷だらけのお母さんに背中の子が死んでいると告げてしまい、気が付いたら母も絶命していたことを告白するシーン
    〇 柿丸が自分の息子たちを「万歳、万歳」と叫びながら戦地に送り出してしまったのだと悔恨の表情で語るシーン
    駅前劇場という狭い空間の中で、蔵王連峰を描いたパネルの美術が秀逸だった
    それをうまく生かすライティングのおかげで、朝昼夕夜を見事に表現できていた(劇団公式Ⅹ舞台写真参照)
    アフター・アクトは今回は浅井伸治だけがシリアス
    ある意味双方から見捨てられた「ウェーク島の戦い」での戦友の死は会場がシーンとなっていた
    西尾友樹はなんとお料理教室(笑)
    劇中話とシンクロしているのだが、味噌汁を作りながらの軽妙な語りは笑いの渦だった

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    2024/06/17 15:35

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