Dear・異邦人 公演情報 劇団「楽」「Dear・異邦人」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    少し切ない慕情劇のよう。
    説明にある「裏寂れた公園」「全然違う世界を生きている」「消えてしまう」は、女と男のそれぞれの慕情を表しているよう。説明文だけでは無味乾燥の情況も、舞台として役者が体現すると俄然面白くなる。その典型かも知れない。

    少しネタバレするが、二人が出会った夜、それから半年後の夜、この二夜に語られる濃密な心情劇。ほとんどを女が喋ることになるが、それでもお互いの切なさ哀しさ、そして淋しさがしっかり伝わる。女は現在を、男は過去を嘆き悲しむ。そこに2人の苦悩の深さ、癒しきれない時間、そんな違いがあることを表す。

    前回(旗揚げ)公演も観劇したが、その時は大勢のキャストによる群衆(集)劇だったが、今回は男女2人芝居。どこかで在りそうなシチュエーション、それだけにリアリティが求められるところ。卑小だが 少し気になるところが…。
    (上演時間1時間35分 途中休憩なし)

    ネタバレBOX

    舞台美術は 裏寂れた公園…中央の半岩壁に蔦が垂れ下がり、その前に腰掛が2つあるだけ。周りは暗幕。気になったのは、突然 男がタップダンスを踊るシーン。普通の公園であれば、地面は土か草だと思う(落書きのようなものが描かれているからコンクリート?)が、ここでは靴で踏み鳴らすことが出来る。女も いち早くタップダンスと言い当てているが、本来なら飛び跳ねているだけの姿であろう。そこが不自然だ。逆に舞台だからこそ 不自然さを自然に思わせるマジックか。

    物語は見知らぬ女(山本真菜美サン)と男(倉田 楽サン)が ひょんなことから出会い、それぞれの身の上話をする、そんな取り留めのないもの。お互いに接点があるわけでもなく淡々と紡がれる。
    女は付き合っていた男と別れ、仕事もうまくいかず、やけ酒を飲んでいた。男は この公園で寝泊まりしているホームレス。男は喋れないため、女が身振り手振りを交え意思を確かめる。この喋れないという設定が妙。ほとんどが女による自他の台詞、そのモノローグでありダイアローグ、この力演が見どころの1つ。

    先のタップダンスは、どんな映画が好きかという話題の中で披露(ジェスチャー)された「雨に唄えば」(サイレントからトーキーへ移る時代の映画という選定が良い)のワンシーンであろうことは、容易に想像がつく。
    さて、女は1年だけ特別支援学校で勤務したことがあり、その時に手話を覚えた。そして 何とか男に手話が出来るようにと…。

    半年後に再会、その間に 状況の変化があった。女は元カレと再び付き合いだし、仕事も順調。男は独学で手話を覚え、女を驚かせる。女は男に訊ねた…どうして喋れないのか、ホームレスなのか?この2つの質問に男は答える。妻とドライブしている時、対向車線を越えてきた車を避けようとしたのか否か。妻の浮気を疑っており、自分に正直なハンドル操作をしたのか覚えていない。その結果、事故を起こし妻は死に、自分は大怪我を負って喋れなくなる。そして妻との想い出が多い家に居ることも出来ず…。

    前半(出会った時)は女の、後半(再会時)は男の、それぞれの身の上話で、交わる話題はない。その意味ではモノローグを観ているよう。街の片隅にある寂れた公園、見知らぬ男女が愚痴る話を通して 慰め合い 明日を頑張る、そんな切なさが滲み出た作品。この公園も取り壊し、もう会うこともない2人、それでも季節は巡るというラストシーンが好かった。
    次回公演も楽しみにしております。

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    2024/06/07 16:50

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  • mana 様
    コメントありがとうございました。
    遅くなりましたが、追記させていただきました。
    次回公演も楽しみにしております。
    タッキー

    2024/06/11 17:38

    タッキー様
    旗揚げに引き続きご観劇頂きまして、誠にありがとうございました。
    本当に励みになります。ご意見もとても嬉しいです。難しいものですね。
    私共もまだまだこれから精進してまいりますので、今後の劇団「楽」も、見守って頂けたら嬉しいです。
    本当にありがとうございました。
    山本

    2024/06/11 09:06

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