実演鑑賞
満足度★★★★★
面白い、お薦め。見応え十分。
斎藤茂吉の心情を抒情的に描いた人物伝。物語の面白さは勿論だが、舞台美術が茂吉の心、いや戦後日本の空虚さを表す 空間(空隙)芸術といっても過言ではない。登場人物は5人、何気ない親子・日常会話にも関わらず その濃密さ、無言の間(ま)の中にも葛藤や情愛といった心の機微を感じさせる演技が上手い。
物語は、終戦直後の1か月、そして山形県金瓶という地(疎開先)の設定が妙。歌人 斎藤茂吉という実在の人物をモチーフにしているが、フィクションであることは言うまでもない。しかし、描かれている状況や今後を考えると、そこには多くの人々が直面するであろう課題・問題が浮き彫りになってくる。つまり老いと喪失感である。そこに少しの慰め(忘憂)を求めるとすれば、故郷という地---雄大な自然を背景にした人間ドラマが息づいてくる。
(上演時間2時間 途中休憩なし) 追記予定