デンギョー! 公演情報 小松台東「デンギョー!」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    死ぬ程面白い。大傑作だと思う。
    セットは庭劇団ペニノの『笑顔の砦』っぽいリアルな作り込み。舞台美術と照明は天才の仕業だ。詰所の窓とアルミサッシの引戸が開かれる度、ふと見える外の光景。まさしく現実世界に続いていく手触り。TRASHMASTERSっぽい人物の偏執的な描き込み。どうしようもなく沈鬱な現実を提示するのかと身構えるが、展開されるのは高度な喜劇。何重にも捻り過ぎて最早哲学的ですらある笑い。平山秀幸監督の『笑う蛙』を観た時のような全く先が読めない不思議な感覚。これ一体どう落とすのか?と思ったら成程!

    宮崎県にある宮崎電業。社長が病気で倒れ、社長代理の森が舵を取る。現場を知らない素人の仕切りに電工(電気工事士)達はそっぽを向き、叩き上げの電工から執行部入りした営業部長(瓜生和成氏)は間に挟まれる。更に執行役員として尾方宣久氏が突然の入社。現場主任の五十嵐明氏や松本哲也氏は不信感を募らせる。

    太腿のtattooを見せ付ける事務員の平田舞さんはあーりんを思わせるふてぶてしさで貫禄。
    しずちゃんとの結婚で注目を集めた佐藤達(とおる)氏は下請け業者を流石の怪演。
    いぶし銀の五十嵐明氏は目付きの変化だけで唸らせる。
    軽度の知的障害者であろう吉田電話氏も大ハッスル。
    電材屋の依田啓嗣(たかし)氏はヴィジュアル系。

    MVPは天才・瓜生和成氏。もうこの人にはかなわない。時折ドクター中松にも見える自然な抜けっぷり。凄い技術。時代が時代なら実録ヤクザ映画で引っ張りだこだったろう。

    この高度な笑いのテクニック。混ぜ方が巧妙。時折、吹き出すのをこらえる役者達。シリアスな話の中に必ず毒物を混ぜてくる。
    こういう作品を観れる幸運。才能が溶岩のように溢れ出している。
    是非観に行って頂きたい。

    ネタバレBOX

    依田啓嗣氏のケンタッキーを早朝に差し入れする力量。宮崎では24時間営業なのか?

    タイミングの巧さ。狙いすましたようにカットが切り替わる。
    博多華丸・大吉のネタに近い笑い。

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    2024/06/01 00:30

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