サーフィンUSB 公演情報 ヨーロッパ企画「サーフィンUSB」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    この劇団独特のカラーが生きている
    ヨーロッパ企画を観るのは、これで、3度目ですが、いつも感心するのは、とても台詞とは思えないような、若者の日常会話が、ごく自然に舞台上で繰り広げられる、見事なリアルさです。

    今回の舞台装置は、空想組曲の「遠ざかるネバーランド」のフライヤーで見たような、非日常の世界でしたが、でも、そこで、繰り広げられる会話は、まるで、ファミレスで、隣り合った若者達の会話を、聞くともなしに聞いてしまったような、ごく日常の、普通な会話の連続でした。
    その会話が、あまりにも自然体なので、この劇団、稽古風景が全く想像できません。

    シチュエーションや、語られる内容は、非日常なのに、語られる会話は、実に日常的なので、そのアンバランスに違和感を感じてしまう方には、オススメし辛い劇団ですが、私は、この劇団の、この独自な雰囲気が大好きで、ずっと、笑顔で、観ていました。

    アフタートークの緩さも含めて、とても好きな空気感の劇団で、その上、今回の舞台で、酒井さんの大ファンになりましたので、ずっと、この劇団、追いかけたいと思います。

    ネタバレBOX

    アナログの体験が最良と言っていたサーファー達が、アキバ…の営業マンの口車に乗って、自分のサーフィンのダウンロード数を気にする内、本末転倒になって、サーフィンを楽しむのではなく、ダウンロード数を増やすために躍起になり始めるところで、私は、実際ネット上でも、こういう人種がいるなあと、卑近な例を思い浮かべて、妙に、受けてしまいました。

    ハンバーガーが、もはやスローフードだと言って、自殺しそこねて仲間入りした女性に、その食べ方を皆が口々に伝授するシーン、もう、この劇団でしか、成立しないような場面で、感嘆しつつ、大笑いして観ていました。

    本当に、普通の会話を切り取ったようなシーンの連続ながら、シニカルな部分もあり、この絶妙な匙加減の、作劇が、私は、心底大好きです。

    今回、2回も、海に落とされる、営業マンの酒井さんの演技に魅了されました。
    私が、かつて大ファンだった、今は、役者は休業中の、8割世界の吉岡さんを彷彿とさせる、見事な営業トーク、心酔しました。アフタートークでも、また海に落とされる場面を再現して下さったのですが、その素の表情まで、とても魅力的な役者さんで、彼を観られただけでも、ラッキーな観劇となりました。

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    2010/08/12 20:37

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  • きゃる様

    本当に、そうですね。
    一見、普通な情況設定のようでいて、実は、全く有り得もしない人物造形をする、似非劇作家もいれば、この劇団の上田さんのように、情況は、今現在は有り得ない世界の出来事なのに、描かれている人間には、とてもリアリティがあって、きちんと、人間の本質が描ける劇作家もいるのですよね。所詮は、嘘の演劇において、でも、登場人物のキャラクターには、全く嘘がない!
    そのあたりが、私のこの劇団を好きな理由かもしれません。

    2010/08/18 19:24

    KAE様

    この劇団についての詳しい説明、大変参考になりました。ありがとうございます。
    たしかにこのセット、最前列とか前方の人は上のほうが観づらいでしょうね。
    このお芝居は観たあとに、じわじわ波が押し寄せてくる感じですね。
    重複しますが、あの焼肉屋の優待券、あんな瑣末な会話の中にこそ、案外「経済」の縮図みたいなものが表現される気がしませんか?ああいう「経済」の描き方ってあるんだーと感心しました。
    競争経済社会から離脱したつもりでも、人間、食欲は当然残るし、ダウンロード数で優劣を競う気持ちも生まれていく、身近なことをいろいろ考えさせてくれた作品です。会話はユルユルなのに。そこがスゴイ!(笑)

    2010/08/18 13:07

    京様

    いえいえ、私などでお役に立てることでしたら、いつでも、御遠慮なく!!

    2010/08/17 00:18

    KAE様

    ありがとうございました。

    やはり地域によって大きな違いはないようですね。

    会場での温度差を感じていたので、東京ではどんなものかと気になっていました。

    不躾な質問申し訳ありませんでした。

    2010/08/16 18:56

    京様

    そうですね。東京での評判は、私も、コリッチの他の方のレビューを見るぐらいでしか判断できませんが、たぶん、この劇団は、この独特のスタイルと持ち味を好きか嫌いか、あくまでも、その方の趣味嗜好によって、評価が分かれる劇団だと思います。

    私は、たまたまここのレストランの味付けが好きだけれど、辛いのが好みの方にはおススメできないし、この味が好みでない方の気持ちも理解できるといった感じの、自分と違う評価をされる方の思いがとんと理解できないという感じにはなりません。

    自分のレビューで書いたように、この劇団のカラーは、日常の一こまを切り取って、そのまま見せているような、日常スケッチ風な作風なので、起承転結を求めたり、葛藤がないと演劇とは思えないタイプの観客には、全く受け容れがたいだろうなというのは、高評価の私でも、感じるところです。
    本当に、ファミレスでの臨席の会話を聞いている感じですからね。
    でも、その一見何も工夫がないように見せている中に、上田さんの冷徹な人間観察眼を感じるので、私は、芸がなくて、ドラマを書けない酷い戯曲とは違う、この作風が大好きなのですが…。

    ただ、これは、あくまでも、私の観客席での体感でしかありませんが、たとえ、低評価の方でも、観劇後、憤慨して席を立ったり、落胆して帰るような空気は、東京の会場では、あまり感じなかったと思います。会場は、どこの席からも、満遍なく、笑い声が聞こえましたし、何よりも、ビックリしたのは、アフタートークを聞かずに帰る方がほとんどいなかったことでした。
    別に有名なゲストがいるわけでもない、劇団員のみのアフタートークに、これだけの観客が残って、耳を傾けている様子に、演劇ファンとしては、とても心地良さを感じました。
    低評価の方も、この劇団の空気から大嫌いという方はあまりいないように思います。

    ただ、今回の本多劇場は、この作品にはあまり適合していなかった気はします。私の席は、舞台上の人物と目線の高さがほぼ一緒で、観やすかったのですが、前方のお客さんは、セットの位置が高いため、常に、舞台を見上げる形になるので、もし、この劇団の人気を聞きつけ、期待されて観にいらした初見の方には、舞台の観難さも手伝って、より期待を裏切られた感覚を持たれた方は多かったようにも思います。
    でも、会場は満席で、補充席も出て、舞台を観る会場の空気は、一体感があった雰囲気であったことだけは確かな体感でした。

    2010/08/14 10:36

    KAE様

    この作品は観てないし行く予定もないのですが、この劇団の東京での評判が以前から気になっていたのでコメントさせて頂きます。


    ここはいままで、2、3作観たかと思うのですが、私の意見としては、
    ・面白くなりそうな題材を料理しきれていない。
    ・どんな関係性の人間だろうと、しゃべり方、間が同じでキャラクターわけができてない。

    というのが大方のものでした。

    福岡でも、固定ファンはけっこういるようで、会場の前半分は受けまくり。感想ブログなど見ても「いつものユルい笑い」などと書かれていました。

    しかし、会場の後ろ。つまりファンではない一見の客層はシーンと静まり返っており、私もその一人で、なぜこの劇団がそんなに人気があるのかが分からず、東京ではどんな評判をとっているのかが気になっていました。


    せっかくの高評価に水をさすようで心苦しいのですが、東京での捉えられ方を教えて頂けませんでしょうか。

    2010/08/14 05:41

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