あしたはてんきにしておくれ 公演情報 トツゲキ倶楽部「あしたはてんきにしておくれ」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    面白い、お薦め。
    少しネタバレするが、或る男(作家)の魂の彷徨と嘆き 叫び。自分の生き様を俯瞰することで見えてくる人生模様や人間模様。そして、改めて周りの人々の優しさ温かさに気づく。そんな幸福(感)は、一夜遅れて実感する、といった比喩であろうか。

    帰り際、観客が「好かった」「良かった」と口々に言っているのを久々に聞いた。公演は、声なき声の慟哭が描かれており、本来ならば涙腺が緩むところだが、何故か 逆に口元が綻んでしまう。敢えて、その状況に現実味を持たせないようにして、人の気持を暗く追い込まない。逆に 伝えようとする気持は生き活きとしており、明日を見据えている。そぅ ”あしたはてんきにしておくれ” なのだ.。見応え十分。
    (上演時間1時間45分) ㊟ネタバレ

    ネタバレBOX

    舞台美術は、段差ある舞台に 箱4つが横並びしているだけ。そして瞬時に鯨幕が吊り上げられ葬儀場になる。
    物語は、或る男の戸惑ったような問い掛けから始まる。周りには誰もいないが、その言葉をニヤニヤしながら聞いている者?がいる。この2人が物語の主人公で瞬時に場所を移動する。或る男の名は (津島)章太郎(高橋亮次サン)、職業は作家である。実は既に亡くなっており、まもなく彼の葬儀が執り行われようとしている。しかし彼は死んだことを認識していない、どうして死んだのかも覚えていない。もう1人は、あの世からの使者 ツジ(関 洋甫サン)。しかし 使者は、死んだ原因・理由を教えてくれない。この謎が 物語を牽引していく。

    章太郎は 太宰治に憧れており、作風はもちろん生き方も真似ている。妻 美奈(前田綾香サン)など家族がいるにもかかわらず複数の愛人がいる。亡くなったのは愛人と会った日で、無理心中かといった憶測が…。その浮気相手佳乃(中西みなみサン)が葬儀場に来て 参列したいと言い出し、家族と一悶着起こす。そして、章太郎に推理プロットを盗作された友人、章太郎のファン、編集者などが巻き起こす騒動。
    一方、役所で働く公務員一家の話。突然 夫 タケオ(井内勇希サン)が仕事を辞めたいと言い出し、戸惑う家族。自分は人の役に立つ仕事をしたい。役所では、忖度するような仕事ばかりで生き甲斐が感じられない。真面目/地道に生き 暮らしてきた。

    この2つの家族が交錯することによって 物語が大きく動き出す。章太郎と正反対のような性格だが、実は幼い時の知り合い。ひょんなことから章太郎がタケオに憑依し、自分の思いを家族や友人に告げ出す場面が見所。自分の生き様を俯瞰することで、今までの所業を悔い反省する。色々な意味で周りの人々に助けられ、その優しさを知ることになる。そして死因は自殺としているが、これは妻の思いやり。

    照明によって現世とは違った雰囲気を漂わせる。大人数の時は 明るい照明、章太郎の独白などはスポットライトなど、その諧調は定番。しかし、霊界の使者 ツジが下手の一角に佇んでいる時の妖しげなシャボン(浮遊感)のような照明は独特の世界観。そして章太郎の思いが少しずつ伝わる、そのポロ~ンという優しい音色がなんとも効果的だ。
    ラスト、この世は魂の修業の場、生まれ変わったら真っ当な人生を歩みたい と。
    次回公演も楽しみにしております。

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    2024/05/23 17:12

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