世界ギュルルン滞在記 公演情報 FREE(S)「世界ギュルルン滞在記」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    面白い、お薦め。
    タイトルから、TV放送された世界紀行ドキュメンタリー番組のようなイメージを持っていたが、内容は 社会に蔓延る差別や圧力といった不条理を描いた風刺劇。勿論 TV番組を意識しているが、表層の面白可笑しさだけではなく、間口の広さや奥行きを感じさせる好公演。内容は示唆に富んでいるが、更に この番組制作自体のことが…。

    スラップスティック・コメディのように体を張った(表現)場面もあるが、そこにはしっかり観せておくといった意味があり、物語を展開する上での伏線になっているよう。
    総じて若いキャスト陣だが、滋味ある表現と飛び跳ねといった躍動感、その硬軟ある演技が物語を魅力的にしている。

    ドキュメンタリーということもあり、訪れる村の地理的・人間的な雰囲気を醸し出そうと工夫している。それが衣裳でありメイクである。そして村の祭りの見せ場として、或る玩具を使った遊びをする。その ちょっぴりドキドキする観せ方が、観客の集中力を高める。舞台としての遊び心であろうか?
    (上演時間1時間50分 途中休憩なし) 

    ネタバレBOX

    舞台美術は階段状になっているだけの ほぼ素舞台。正面壁(オフホワイトの衝立2枚)には枝葉が茂り密林イメージ。その奥にある村へ探検取材といったイメージがドキュメンタリー番組のパロディイメージ。

    表面的な面白さ・・取材するのは芸人アベックとスタッフ2人の計4人。現代世界から絶縁したような村(場所)では、外の世界と情報や文化的な繋がりはない。また上級・下級民といった差別(もしくは奴隷制)、村長への貢ぎ物といった前近代的(封建的)な名残り。まるで江戸時代へタイムスリップしたような感覚。

    裏面的な面白さ・・売れていない芸人アベックが取材するという話題作り、見返りに村(長)には内密の金が流れ といった不実。さも 村が実在するかのような偽ドキュメンタリー番組。劇中で番組制作といったオチで、映画「鎌田行進曲」といったところ。カチンコが鳴ったら夢物語から現実の世界へ逆戻り。ヤラセ番組制作を鋭く皮肉ったコメディ。

    公演は、偽番組中の考えさせる内容そのもの と物語全体の構成、その二重の(良い)意味での裏切りが見所。そして売れない芸人アベックの恋愛の駆け引きとその真偽、呪術的な場面等を挿入し飽きさせない工夫が好い。また新嘗祭におけるイベントがキャスト全員による<けん玉>とは…遊び的な要素が多いのも、特徴の一つ。

    村人のメイクや衣裳の凝りよう、擬人化したモンキーのしぐさ、村長の怪(妖)しき雰囲気など、直截的な面白可笑しさも楽しめた。勿論 雷鳴、アラブ風の音楽といった音響・音楽や照明の諧調など舞台技術も効果的だ。全体的に楽しませよう、そんなエンターテインメント作品だ。
    次回公演も楽しみにしております。

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    2024/05/17 16:48

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