狂騒パレード 公演情報 メッテルニッヒ「狂騒パレード」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★

    何かがトラブっていた。
    遊び半分でやっていたハズのオカルト的な要素を物語の重要なファクターとして盛り込む奇天烈さとそれを当然の如く受け入れてしまう人々、という着想は、おもしろい。
    しかしながら、登場人物らの気持ちの流れや伏線の張り方が曖昧なままで『笑いの悲劇』の全体像が突如として出現するために、シュールというよりも、何だか突拍子のない印象を受けてしまった。
    また、場面設定、登場人物、小道具など面白くなりそうなアイテムはたくさんあったのだが、これらをひとつの作品として束ねるのはさすがにちょっと盛り込みすぎだし、如何せんバランスが悪い。
    作品中に登場するこまこまとしたそれらをまるごと詰め込むのならいっそのことショートコント形式の連作にしてしまったりする方がひょっとして伝わりやすかったのではないのかな、と感じた。

    ネタバレBOX

    三姉妹の長女、アヤコはもうすぐ父の経営するプロパンガス会社澤田商事の社員のカマビシと結婚が決まっているが、姉が気乗りしないことを知っている妹のヨシコとノリコは、ふたりの結婚を回避するために、大学のサークル仲間を引き連れて帰省したマサヒロと友人のトモエをくっつけようと計画するが、弟にはサキという名の不気味な彼女がいた・・・。

    ここまでのイントロダクションで、どうしても気になった点がある。
    それは、閉鎖された田舎町で好きでもない男と結婚しなければならない姉の苦悩や、会社の社員と娘を結婚させる父親がどんな人物であるのか、相手の男はどんな男なのかなど、具体的なエピソードを交えた情報が提示されなかったこと。
    ため息をつくばかりの姉に「そんなに嫌なら結婚するのやめちゃえば??」
    なんて妹が軽く言うセリフの「そんなに」が何のことなのか、イマイチ伝わって来なかった。

    また、トモエとマサヒロをくっつけて結婚を回避させよう!というのもアイデアとしてはいいのだが、父の会社の後継ぎはどうするのか、大学を卒業したばかりの新社会人のマサヒロに会社を経営できるスキルはあるのか、など具体的なプランに欠けているため、信憑性は薄いが、そういう現実性のなさは妹ふたりが実家が金持ちでろくに会社で働いた経験がなく社会常識が欠落しているから。とおもえば整合性はあり、問題はないかもしれない。ただ、三人とも表面的には喧嘩とかするけど、結局『いいこちゃん』だったのはちょっと不満。姉のいいなずけは父の遺産を狙っているという噂を父の会社の事務のおばちゃんから聞いたことがあるとか、三姉妹で協力して父の会社を継ぐガッツがないのなら、会社潰して、財産食いつぶそう!とか強かに企んで、輪を乱す不届き者が姉妹のなかにひとりくらいいる方が個人的には好き。

    何はともあれ。
    物語はこの後、弟とサキの恋仲を引き離すため、放浪癖のある二女のノリコがどっかの国で手に入れた『ほれ薬』をマサヒロに飲ませ、トモエに惚れさせようと試みる。
    一方で、弟が引き連れてやってきたオカルト研究会のぶちょーが独自に開発した謎の器具を用いて、UFOを探索。
    また一方で、澤田商事の社員ササキは二女、ノリコに想いをよせる。
    ある時、三姉妹、オカルト研究会、澤田商事の社員らが輪になってテレパシーを送るとなぜかUFOがあらわれてサキと犬のヨネスケが連れ去られる。
    半年後、大学を卒業したマサヒロは、トモエと結婚し有機野菜農家となり、アヤコとカマビシは結婚し、普通の生活を送っていた。
    そんな折、サキと瓜二つの双子の姉妹のマキと名乗る人物があらわれて「復讐をするためにやってきた」という。
    すると突然、マサヒロが倒れて犬のように吠えだした。これも彼女の呪いなのだろうか。山荘の上空をUFOが旋回をはじめ、終幕する。

    物語の主な流れを書いてみたが、この物語が誰の何を描き、何をテーマにしていたのか謎であった。
    ラスト付近で、アヤコの旦那のカマビシが澤田商事は人間の母乳を裏で取引していると突然告白するのも謎であった。
    また、澤田商事の社員のササキがノリコに告白するのは何のためエピソードなのか、不透明だった。

    三姉妹、UFO研究会、澤田商事の社員たち。この3つの集団を全部詰め込むのは、物理的に厳しいとおもうのだが、どうしてもというのならば、オカルト研究会はこの近辺で多数UFOが目的されているという情報を耳にしてやってきたが、道に迷ってしまい下山できなくなったなどの理由による部外者として描き、マサヒロの彼女のサキもそのなかの一員であった、などという設定にして、『マサヒロの知らないサキ像』を描いたらサキの不気味さももっと生かされたのではないかとおもう。
    あとオカルト研究会には雑誌の『ムー』を団扇代わりに仰ぐだけではなく、もっと蘊蓄垂れて欲しかったかな。

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    2010/08/09 01:51

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  • Hell-seeさま

    御来場ありがとうございました。
    カマビシ役の飯川明男です。
    コメント拝見し、詳細な感想で、
    非常に参考になります。
    今後の糧とさせていただき、
    メッテルニッヒは邁進していきます。
    今後ともよろしくおねがいします。
    コメント本当にありがとうございました。

    飯川明男

    2010/08/11 00:59

    Hell-see様
    この度はご来場いただき、またコメントをいただきありがとうございます。
    アヤコを演じました島田ミスズです。
    このような具体的な感想はなかなかもらうことができないので本当に感謝しております。
    お客様に作品を提供する上で謎を残して終わらないようにと心に留めておりますが
    今回は不思議な作風と言う点において、解せない感じと不思議さを混同してしまった結果かと思います。
    作品創りに没頭すると客観的な視点がなくなりがちなので、お客様の目線に立った作品創りを目指してまいります。
    今後もメッテルニッヒをよろしくお願いいたします。

    2010/08/09 13:18

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