SEXY女優事変ー人妻死闘篇ー 公演情報 劇団ドガドガプラス「SEXY女優事変ー人妻死闘篇ー」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    シリーズ化となっている「SEXY女優事変」第三弾(第一、二弾は未見)。脚本の名調子に加え、やはり楽曲・歌、そして振り付けが良い。劇にガップリ四つに組んで支えている印象。
    客席はやや少なめであったが会場はノリの良い客で大盛り上がりである。望月六郎氏の得意分野でもあるのだろう、AV女優の世界を水を得た魚のように縦横に描き、遊びや客いじりを含めた実に多彩な場面展開に息つく暇も無い(10分休憩はある)。その密度とクオリティは私の見始めた頃に比しても上がっているのではないか。
    若く背伸びがちだった女優も成長し、古手の石井、小檜山、座長丸山とタメを張れる女優たちも割拠といった様相で嬉しい限り。既に第四弾が予定されているとの事で、自分的には必見である。

    ネタバレBOX

    会場にはアニメチックな特徴的な声の女性が、舞台上の出来事や台詞に逐一反応して声を出し、他からも「丸山!」等と歌舞伎の大向うみたく声が上がる。これを許容する空気は地下アイドルのライブ(行った事はないが)のノリに近そうである。実際主にスポットが当たる女優ら(悩ましくも果敢に生きるメインとなる約3名、彼女らに喰らいつく役たち、頑張ってシナを作る若手たち)がその役柄を凝縮した歌と踊りは、売れて何ぼのSEXY女優と舞台で演じる彼女らを重ねる事を可能とし、ありがちなパターンではあるが「上がる」瞬間。アンサンブルの成立は、そうした個が絡み合い、人生模様を、人の世を彩る俯瞰の眼差しも与える。楽曲と振付の妙は、俗な印象とは裏腹に、何気に高度である。
    私的には作品性とパフォーマンスを一応区分けをして鑑賞したいと思っているが、性を描く作家が時として我々の意識の奥から呼び起こす、人生の根幹にある性(この舞台では女性性)、性愛が歌・踊りの表現の中心であり、突き詰めれば日活ロマンポルノだ、と言っても誤りではない(かも知れない)。

    一点、終盤近くに舞台上に倒れ込んだ多くの人たちを指して「ここはガザか」という台詞が差し挟まれる。一瞬驚き、どう繋げるのか?・・と見守ったが、特に深追いが無かった(前観た舞台でもそんな事があったな)。望月氏の想念の中では破滅的光景として何か重なるものがあるのかも知れないが、脚本上の必然性はない。作家が今この時「ガザ」に言及しない事はあり得ない・・と考えた結果なら私は大いに共感する。能うならば、劇の中にしっかり位置付けてドラマを描いてほしい(作風からして中々そうはならないだろうが・・)。

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    2024/04/30 03:28

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