狂騒パレード 公演情報 メッテルニッヒ「狂騒パレード」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★

    味のある役者が揃っている
    それぞれのキャラクターがうまく活かされている。
    だが、全体的にふわっと広げてしまった感じで、物語の中心となるべき軸が薄れてしまったように思える。
    それなりに面白いところもあったのだが。

    また、2時間を少し超える上演時間は、体感的にも社会人のルールとしても長いと思った。

    ネタバレBOX

    前半は、状況と人間関係の説明が主で、なかなかドラマが始まらない感じだった。そのドラマも、最初は3姉妹の微妙な関係を、それぞれの内面に入り込みつつ描いていくのかと思えば、恋愛がらみのエピソード展開から、ドタバタコメディへと進む感じになっていき、後半、なんだか気持ちを吐露し始めて、最初の3姉妹の関係へと戻りつつ、微妙な空気になっていく。で、ラストのオチは、やっぱりコメディだし(笑ったけど)。

    やや重い内容を、コメディ的な笑いを交えつつ描こうとしているのだと思うのだが、残念ながら「重く」なるはずの部分はそう感じない。

    妙な状況で失踪してしまう女に対して「みんなで追い込んでしまった」的な、感情を吐露していくのだが、どう考えてもそんなに大げさな印象は受けない。
    もちろん、人ひとりが消えてしまったのだから、大変なことではあるのだが、それは恋愛モノにありがちな、3姉妹が次女の親友の手助けをしただけで、それもそんなに手の込んだ酷いことをしたわけではない。
    だから、「なんということをしてしまったんだ」的な台詞が効いてこないのだ。

    コメディ的な要素にしても、冒頭の助走部分が長すぎて、なかなか本題に入らないもどかしさもあって、笑いに結びつかない。

    「何がポイントなのか」「何を伝えたいのか」が、明確になってこないのだ。
    現実を直視しない3姉妹が、物語の中心にあり、それを描こうとしているのだろう。しかし、姉妹絡みの1つひとつのエピソードが弱いというか、深くなっていかない。

    弟のことと、オカルトと、ほれ薬に、UFO、そして誕生ケーキの百物語という組み合わせはうまくつながっているのだが(このつながりは、正直とても面白いと思った!)、それが本来の中心である、3姉妹の関係とうまく結びついていないのだ。話としてはもちろんつながっているのだが、内面を抉り出すというか、そこまででなくとも、姉妹の気持ちが表れてくるぐらいの感じはほしいかったのだ。

    弟の友だちが多いし、会社の社員のエピソードもそんなに必要あったのか、と思う。劇団員みんなを均等に、それなりに出演させるためにこうなったのだろうか。それによって、周辺部を描きすぎたように思う。
    そこが懲りすぎたため、本来描きたい3姉妹のことが疎かになってしまったのだろうと思う。
    3姉妹をどーんと中心に据え、彼女たちを取り巻く、恋人や夫となる人、弟などを散りばめていけば、軸がしっかりとしたのではないかと思う。

    また、エピソード的にも、会社が秘密裏に行っている輸入についても、合法的なのか非合法なのかが判然としないし、社員が知らないと言うのも不自然だ。それによって、HIVがどうとか、と言われても微妙な感じではある。
    そのことが特にクローズアップされるわけでもなく、単にそうでした、というだけでストーリー的には流されてしまう。
    前半に、次女の友人が下着姿でうろうろしていて、それを人の目から隠すというエピソードにしても、それが笑いに結びつくのかと思えば、べつにそこを膨らますわけではなく、さらっと流してしまう。
    そういう、流してしまうエピソードが多い感じがする。だったら、わざわざ時間をかけて描く必要はないと思うのだ。

    軸の周囲をキャラクターやエピソードで広げすぎてしまったように思えたのだ。

    例えば、変な形の箸置きのエピソードにしても、それがどんな意味があるのかを知らせた上で、壊すという行為になるのほうがわかりやすいのに、大学生がうっかり壊してしまうというエピソードを挟んでしまう。そのやり取りは、それほど面白くないし、箸置きの持つ意味合いにとっては、大学生のくだりは不要なものに思える。
    それを例えば、高価な箸置きだ、というよりは、次女にとって大切な思い出だ、ということを最初に告げておけば、それを壊してしまった大学生の焦りも活きてくるし、すでに壊れていることを、実際に壊すシーンにうまくつなげればもっと面白くなると思うのだ(とは言え、やはり大学生が壊すエピソードは不要だと思う)。

    結局、全体的にいろいろと取捨選択して、絞ったら、もっと面白くなったのではないかと思うのだ。素人考えではあるけれど。

    後半に行く前に、字幕で前半のその後がどうなったかを見せるのだが、演劇なんだから、普通に暗転後、夏の風景で、台詞によってあの後何が起こったのかを、観客に知らせるべきだったのではないだろうか。

    それと気になったのは、この会場は、21時に退館ということらしかったのだが、19時開演で約2時間の上演時間ってどうなのよ、と思ってしまう。それは最初からわかっていたのだろうから、それに合わせた上演時間にするか、早く始めるのが場所を借りる側のエチケット、社会人として守るべきルールではないのだろうか。

    かなり辛口に書いてしまったけど、とにかくこのキャラは貴重で、面白くなりそうな予感もあったので、そのもどかしさもあり、あえて書かせてもらった。

    4

    2010/08/07 07:45

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  • 飯川明男さん

    コメントありがとうございます。

    おお、カマビシ! とってもイヤな感じ(笑)に演じられていてよかったですよ。ちょっと不気味さもありつつで。

    繰り返しになりますが、劇団の(役者の)持ち札はいろいろあるようですから、内容によってはとっても面白くなるように想います。

    成長(笑)楽しみにいたします。

    2010/08/11 05:31

    アキラさま
    ご来場ありがとうございました。
    カマビシ役の飯川明男です。
    コメント拝見し、今後の糧とさせていただき、
    邁進していきますので、
    また成長した姿を観にいらしてください。
    お待ちしております。
    コメント本当にありがとうございました。

    飯川明男

    2010/08/11 00:29

    島田ミスズさん

    コメントありがとうございます。

    アヤコということは、長女を演じた方ですね。
    あの長女の設定に合った、落ち着いた雰囲気で、一種諦めのような疲れた雰囲気をうまく表現されていたと思います。

    感想にも書いたように、それぞれのキャラクターは面白く、強い印象を受けたのですが、脚本と演出で、そのキャラクターを活かし切れていないのが、残念でした。

    次回の公演は期待しています。

    2010/08/10 07:15

    アキラ様
    このたびはご来場ありがとうございます。
    また観てきたコメントありがとうございました。アヤコを演じました島田ミスズです。
    これだけのコメント、本当に感謝します。
    まずご指摘の退館時間と上演時間については仰るとおりで
    劇場と公演の兼合いがうまく行かなかったのですが、結果的にお客様にもご迷惑をおかけしたと思っており、
    今後劇団としても真摯に受け止めるべきご指摘と思っております。
    また、作品についての厳しいご意見でもアキラ様の気持ちや想いが伝わってくるようで、コメントしてくださったこと、本当にありがたくありがたく思います。
    たくさんの方からお寄せいただいたご意見と想いを受け止め、今後も努力してまいります。
    メッテルニッヒをどうぞよろしくお願いいたします。

    2010/08/09 14:04

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