朗読劇「Aiと命」 公演情報 WizArt「朗読劇「Aiと命」」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★

     朗読劇である。尺は約1時間。全3回公演の楽を拝見。

    ネタバレBOX

     板上はホリゾントセンターに大型スクリーンを据えて人間の歩んできた各時代の景色等を映写で示し、スクリーン手前にセンターを開けてカキランを配しハの字に重ねた平台の上に2人掛けのソファを1つずつ配してAI役が2体ずつ腰掛ける。時代設定は数世紀後、人類は既に死に絶えんばかり。無論、戦争のあからさまな結果故である。登場するのはサイボーグ化した身体に人間の意識を移植し数百年を生きる最後の人間・カキランと第1世代から第4世代迄のAI達。AI達は何れも不死を獲得している。そして皆、寿命を持っていた人間、戦争という愚かな行為を繰り返しつつも各々が生きていた意味について思考していたことの意味について検証する為に転生するカキランの生の軌跡を追って答えを得ようとする。
     即ち物語は不死を獲得したAI達が持った疑問を検証する為に二足歩行をするようになって脳が肥大化し狩猟・採集によって生きることを可能にした人類文明の黎明期からシュメールを始めローマ等数々の文明を生き死んでいった人間の有様を通して死が思考に与える影響を考えるという体裁を採っている訳だ。
     尺が短いことも、恐らく脚本家が若過ぎることなどもあり、AI各世代の性能による人間評価の差異というよりは、女の子の形をしたAI個々の性格の差異という観点からしか描かれていないように観えたのは残念。また、人間のように感情を持つようにプログラムされた後代AIが不死を得て退屈という怪物に悩まされずに安穏と日々を送っている点などにも疑問を覚えた。また、転生を繰り返すカキランにはシュメール文明を立ち上げたキャラとして活躍することなども織り込まれるが、このようなことができたのはAIが時代を遡って関与した結果であることを示しながらタイムパラドクスについての顧慮も無い点は問題だろう。
     AI役の4名の内、音響に負けて台詞が聞き取れない役者が2名いたことも残念である。この辺りは全3回の公演とはいえ演出家がキチンとダメ出しをして音響を抑えるなり、台詞を大きな声で言わせるなり対策を施すべきであった。

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    2024/04/16 08:29

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