5月文楽公演「通し狂言 妹背山婦女庭訓」 公演情報 国立劇場「5月文楽公演「通し狂言 妹背山婦女庭訓」」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

     国立劇場で『妹背山婦女庭訓』を通しで観た。人生初の10時間半観劇である(3年前に京都で観た『繻子の靴』を超えた)。前回2004年の通し以来2度目だが、その時が初の文楽鑑賞だったこともあり退屈してしまい途中で席を立ってしまった苦い思い出がある。

    ネタバレBOX

     第一部は歌舞伎ですら観たことのない段が観られてよかった。98年ぶりの上演となる大序「大内の段」は荘厳。二段目「芝六住家」はまるで忠臣蔵「六段目」のような筋と感じる。歌舞伎では1996年以来上演されていない。貴重な体験である。

     第二部の「山の段」「御殿」はこれまで見取りで何度か観ているが、前段を観ているためにより理解が深まるうえ歌舞伎との比較もあり面白い。「山の段」はアクロバティックで特に定高が感動的。何度も観ている「御殿」では求馬の冷酷打算ぶりに怒りを感じ、お三輪の哀愁が染みた。

     通して観ることで「国造りと抵抗」「喪失と和解」「自己犠牲と純愛」のような普遍的なテーマを強く感じられた。くわえて『妹背山』は天皇制支持者に市政の人々が巻き込まれていく物語であり、巻き込まれた人たちが死んだり家族と引き離されたりはするものの最後は嬉しそうであるという点が悲劇的と感じた。

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    2024/04/14 11:56

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