かもめ 公演情報 Ito・M・Studio「かもめ」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    愉しい観劇であった。俳優諸氏が提示するキャラが芳醇で堂に入っていて(過去観た「かもめ」だって役者は堂に入っていたはずなのだが)、本物だな、と思わせるものがある。翻訳劇である「かもめ」が持ち得る世界観の研ぎ澄ました一つがここにある、と思った。発する言語の意味ニュアンスは的確で切れ味よいが、役人物の性格、心理といった側面からのアプローチで果してこういう仕上がりになるだろうか・・?(研究所の設立者である故・伊藤氏は大変厳しいであったと聞いた事があるが、娘に受け継がれたそのメソッドを聞いてみたいものだ。)
    劇空間の快楽。救いのない苦い物語を観客に飲ませる甘味さがある。

    ネタバレBOX

    温暖となったこの日、劇場内も半端なく暑かった。そんな中、大ラスでトレープレフはニーナとの久しい対面の後、絶望を噛み締めてその時点までに書いていた原稿を破くのだが、一枚一枚、同じテンポで八等分に破いて行く時間は暑さも手伝って耐えがたいものになった。8枚近く破いていたが、断念の意志と未練との分裂した感情からか、死への準備の時間だったか・・意味的には解釈も可能だが、自分が生み出した言葉を無意味だと宣告する行為の中に、自棄の感情が突起のように小爆発が起きないものか・・存分に未練を湛えながら、自分を死へと追いやるという虚しさ、「死に価しなかった死」(中二病的な?)としたかったのか。一時的な衝動による自死=軽い死ではない、という事を示そうと、自死は衝動的な死以外の何物でもないのではないか。

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    2024/03/31 08:59

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