実演鑑賞
満足度★★★★
外国人が登場する芝居は翻訳劇だという思い込みがあった。だがこの作品は日本人の脚本でアメリカ人を描き、それを日本人の役者が演じるという極めて珍しいパターンだ。さらに、作品に登場するのは原爆製造に関わった科学者たちとその家族。私などは原爆と聞けば広島、長崎の惨状がすぐ思い浮かぶだけで被害者の視点でしか見てこなかった。それを加害者であるアメリカ側の(それも原爆製造の当事者) 視点から描こうというのが画期的だ。これらは特筆すべき点だろう。日本人を悪し様に言うシーンなどはインパクトがあってすごく嫌な気分になった。
役者陣には各々の役柄を深く掘り下げ、それを忠実に体現しようという姿勢が強く感じられ、重いテーマとも相まって舞台に独特の緊張感が漂っていた。観ているこちらも自然と居住まいを正し舞台に集中でき、ある意味とても心地よい緊張感だった。