バザール 公演情報 現ア集「バザール」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

     今作jを深堀すれば、大変深刻な問題が析出されようが、その有様を軽いタッチで描いている点がグー。面白い!

    ネタバレBOX

     今回は「探偵事務所」のオハナシ。追っている対象はちょっと不可解な、だが何処にでも在るような而も登場する探偵事務所員達の認識法では極めて解くことが難しいという代物だ。それは例えば事務所に在るデスクでも良いし、カップラーメンやボールでも良い。問題は、これらが客観的に在るとしても探偵達、玄人には不十分と見做されていることだ。何故か? 物それ自体によって己の存在証明が出来ないからである。彼らは何とかこの解を見つけ出そうと奮闘している訳だ。
     一方で探偵達は就業時間を終えたら残業等は一切せずにプライベートタイムに移行する。プロフェッショナルである以上、総ては就業時間内に片付けて当たり前、それで片付かない問題はそもそも問題足り得ない! との主張である。探偵達はこのようにして自らが生き、暮らしている社会と世界に対峙している。探偵達は都合2人、事務所ではITに強い人物も1人登場する。彼は探偵達の主張を聴きながら古いパソコンを分解してCPUを取り出し部屋にあったIT掃除機を足代わりにロボットが動けるようにしたり、未だ目玉の入って居ない達磨を頭部にとあり合わせのガラクタも用いて簡単にロボットを作り上げてしまう。無論、作られたロボットはキチンと機能する。これらの条件から導き出されるもの・ことは何か? 探偵達とITに強い人物はかなり近しい関係である。つまり知的レベルは高い友人同士と考えて良かろう。然も探偵達は先に挙げた認識上の問題点を克服できていない。この事態の原因は唐突に思われるかも知れないが、所謂エリートとされる為政者、キャリア官僚等々の実際の行動が完全に破綻しているケースが年中報じられ、まともな知性を持つ人間からは茶番としか名付けようのない施策を多くの反対を誤魔化しや隠蔽、詭弁とアリバイ作りで、或いは木で鼻を括ったような答弁などですり抜けしゃあしゃあと主権者達の望まぬ、だが某国が望む方針に諂う姿を日々嫌というほど見せつけられ『人間不信』に陥っているからだろう。ITには有能な処を見せても自らの心理分析や健全な人間社会を創出する為の前提となる人としての倫理観が現在の祖国には欠落しているということを骨の髄から知悉しているからに他なるまい。壊れた人間より論理的で裏切らない可能性がより高いITに走るのも無理はない。
     ところで探偵達の、自分の側からしか世界を観ない態度も同根であると思われる。然も不信が根っこにあるから、物がそれ自体で自己の存在を証明できないという論理を越えることが困難である。然し解は容易く得られる。読者もチャレンジしてみて欲しい。

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    2024/03/24 09:51

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