アームストロング・コンプレックス 公演情報 劇団ショーマンシップ「アームストロング・コンプレックス」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度

    つまらない。と言わせないで欲しい。
    江戸末期と明治、二つの時代の絵師を描いている本作。
    設定だけ聞くと面白くなりそうな予感で満ち溢れている。
    だが、そうはならなかった。

    問題点は幾つもあるが、そのひとつに江戸パートと明治パートの繋がりが非常に希薄であることがあげられると思う。
    二つの時代が実際に交わるのは舞台も後半を過ぎてから。
    いくつか二つの時代をまたがるものが出てくるが、あまり物語に絡まず、二つの時代はただ平行に描かれるばかりで、因果の絡みがどう表れてくるのかと気にすることすら段々と嫌になってくる。
    ストーリーも盛り上がりに欠け、クライマックスも唐突過ぎた。
    どちらかの時代に重点を置いた方が良かったのではと思う。


    次に気になる点は暗転中の音楽だ。
    ジャンルを問わずいろんな曲がかかっていたように思う。
    時代物だからと古い曲を流す必要性などはないが、芝居に合わない曲ばかり流すのはどうかと思った。
    基本的ともいえる「暗転中に観客の興味が芝居から逸れる愚」を犯している。


    一番酷いのは言葉だろう。
    当時そのままの言葉を使う事は不可能だという事はわかる。
    だが、舞台上にいたのは「江戸・明治」の人間ではなく「現代の若者」であった。
    古い言葉・動作を努力しているようではあったが、少し気を抜くと現代の動きや表情が表に出てきていたし、昔の人間なら絶対にしない動作が多かった。
    ただし、これは役者だけの責任ではなく脚本・演出の責任が大きいだろうと思う。
    作る側が大して調べもせず脚本を書き、演じる側も大した考証をせずに演じた結果がああなったのだと思う。


    演技に関してはあまり言っても仕方がないように思う。
    声を聞きとれない役者さんや神経に障るような声を出す役者さんがいてセリフが聞き取り辛かった。
    全員がセリフを自分のものにしていないし、もちろん間も取れていなかった。
    仲谷氏の演技は特に酷かった。一番のベテランが一番酷いというのはどうなのだろうか。


    唯一感心したのは、落合芳幾役の方が目を剥いて失神するシーンで瞬きひとつしなかったことだ。


    最終日だった為アフタートークあり。
    トークの中で「これだけ別の方向性の劇団から集まってよくケンカにならなかったものだ」との旨の発言が出ていたが、自分の信ずるところを主張し意見を本気で戦わせるのでなければケンカをすることすらできないだろう。
    「本当にたくさん芝居の話をした」とも出たが、どの程度の話をしたのか、この出来では疑問だ。

    ネタバレBOX

    劇中で語られる「芸術論」、絵のことを語っているが、そのまま演劇に当て嵌めることができる。

    「向こう側を見たい」も若く情熱はあるが、それだけしかない芸術かぶれの青年が言いそうなセリフだが、「千枚の絵を描けば1つくらいは傑作ができる」に至っては酷すぎる。そんなまぐれだけに頼ってどうするのか。実力をつけるという選択肢ではなく、観客頼りではないか。
    芳年たちをそんな安いキャラクターにしてしまってどうするのか。

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    2010/07/31 01:58

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  • KAE様

    先ほど、ナイロンの感想書きました。
    KAEさんの予想通りです(笑)。

    2010/08/01 22:41

    京様

    地元では評判の劇団なら、風当たりが強いのは、ある意味わかるような気もしますが、私が、京さんのコメントに、決して悪意がないことがわかるように、きっと地元でも、京さんのご感想に賛同されていらっしゃる方も、実は、結構いそうに思います。
    そういう方達は、きっと、そっと京さんに同感されているのではないでしょうか?

    ナイロン100℃は、私は今回かなり好感度高かったのですが、京さんは如何だったのか?
    大変、興味深くてなりません。
    たぶん、私よりは、評価低いかなと予想しているところです。(笑)

    2010/08/01 02:12

    KAE様

    コメントありがとうございます。
    まさかコメントを頂けるとは思っていなかったので感激です。

    今回のこの公演は福岡の商店街にある小劇場の設立10周年記念に、ここで旗揚げをした劇団の有志が集まってやったものです。
    地元福岡では名前を知られている方が多いですが、それだけに、「福岡のレベルはこの程度なのか」とも言われてしまうような舞台でもありました。


    ただ、悲しいことにここ福岡では、この芝居は連日ほぼ満席、客席では笑っている人も多く評判も悪くないようです。
    そして私の感想も、KAEさんのように受け取ってくださる方は少数で、私を非難する人の方が「福岡演劇」に携わる人やファンには多いです。

    ちょっと愚痴めいてしまいましたね(苦笑)。



    KAEさんのレビューなどを見るとやはり東京は羨ましいですね。
    「観たい」にあげていた、モンティ・パイソンのファンイベントなどはヨダレものです(笑)。
    パイソンファンですので。

    本日は、ナイロン100℃を観てきましたので近々感想をアップしようと思います。

    2010/08/01 01:02

    京様

    この劇団のことは全く知らないのですが、京さんのシビアな御感想を拝読したくてウズウズしていたので、すぐにこのレビュー、拝読させて頂きました。

    全く、未知な劇団ですが、京さんの御感想、とても共感してしまいました。
    きっと自分も、観ていたら、似たような感想になりそうな気がしました。

    本当に、京さんの御感想は、常に、愛情故の苦言という感じがして、いつも、読んでいて、清々しい気持ちになれます。

    また、私も観た芝居の御感想も楽しみにしています。

    2010/07/31 23:58

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