廃墟ブーム 公演情報 サイバー∴サイコロジック「廃墟ブーム」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★

    ハチャメチャな感じが好み
    小ネタもいい感じに織り込まれているし、会場の使い方も楽しい。
    ただし・・・。




    (これから行く方は、劇場内のトイレ側の席に座ったほうがいいと思う。逆側だと見切れてしまうシーンがちょっとだけあるので)

    ネタバレBOX

    富山県にある、亡くなった父親の持つ建物に、その娘と友人たちがやって来る。建物は廃墟と化していた。娘は、父親が漁師を辞めて、何をそこでやっていたのかを探るために訪れたのだった。
    父親は、この世にないモノを何でも作ることができるが、必ずスイッチのない機械を作ってしまう女性博士と、そろばんが得意な女性派遣社員の2人を雇い、そこで何かを作ろうとしていたのだ。
    父親は、女性博士に、ある人を蘇らせ(笑)、計画を進めるのだった。
    一方、娘は廃墟プロデューサーを雇い、廃墟の中を探り、ある事実を発見する。
    そして・・・。

    そんな感じのストーリーで、細かい説明はなしに、ハチャメチャな方向に進む感じもとてもいい(「そんなことできるの?」という質問に対して「だって○○(人名)だから」という強引な説明には笑った)。
    また、小ネタがところどころに地雷のように隠してある。それはとても面白い。根底に流れるデタラメで、投げっぱなし感も好みだ。
    そして、役者の登場するシーンがとても楽しい。ニタニタしてしまった。
    だって、明らかにヘンな風体の人が客席にいるんだもの(笑)。
    しかし、ヘンな風体の人じゃない役者の、まるで大きな声の独り言のような台詞と舞台への登場には、もう、面白くって(その役者のそばにいる観客の、困っちゃたなぁな顔がいい・笑)、これは楽しいと即座に思った。

    ただ、それを見せるための演技が伴っていないような気がする。こういう人を演じてます的な、台詞回しと演技がちょっとなぁという感じ。
    全体的にそうであったというよりは、レベルが伴っていない人が、全体のリズム感を壊していたのかもしれない(とてもいい感じの役者もいたので。例えば、娘役の白井肉丸さん、その友人の栗原香さんの、普通な感じ。そして、父親に雇われた博士を演じた、正木英恵さんの何を考えているのかわからない無軌道な感じなど)。

    というより、ひょっとしたら役者よりも、これは演出のテンポみたいなものが悪いのかもしれない。だらっとした印象なのだ。これって、どうなんだろう。このテンポに合う人もいるのかもしれないけど。
    LE DECOという会場は、小さいので、観客の顔もよく見える。途中で時計を見ていた人が何人かいたので、このテンポに合わない人がいたのは確かだと思う(あんなに狭い会場なのに、携帯の留守電(?)を聞いているらしい人がいたのには、驚いたが。そんなに退屈だった?)。作演の松澤さんも客席にずっといたから気がついたのではないだろうか、そんな会場の空気。

    現在と過去がシンクロする演出はいいと思ったが、もっと鮮やかさがあれば、言うことはない(ラスト近くで、部屋から逃げようとするときにホームレスが呼び止めるところなど)。例えば、過去の出来事が行われているときに、娘たちはしゃがんだりしているけど、あれは、未来への盗聴器を聞いている、という風にきちんとすれば、同時に同じ場所に普通にいても違和感がなかったと思うのだ。

    それと、いまどきプロジェクトXのパロディというのも、なんだかなぁ、という感じ。一周回って面白い・・・とはならなかった、私は。
    最後の最後に、次週予告のナレーションが入るので、プロジェクトXパロディがそこだけならば、にたりとしたと思う。しかし、途中にも「地上の星」が流れる。その瞬間、こういうのって、つまんないなあと思ってしまったのだ。

    ストーリーのオチは、トンデモな展開になるのだが、逆にしょぼいほうもアリな気もした。あの人を蘇らせての、しょぼいオチというのもいいのではないかと(今回のオチのほうが、「まさかこれでは?」と予測のつくほうだったので)。
    まあ、このラストも、悪ふざけ感があり、嫌いではない。
    あのラストの造形物の出現は、ブラックというより怖さがあるし。こういうセンスは買いだ。

    とはいえ、この劇団は、根底に流れている「面白さ」があるので、いろんなものがもっとこなれてくれば、もっともっと面白くなっていくと思う。
    それは楽しみでもある。

    この日は、作演と役者がお題に従いトークをするというアフターイベントがあったが、これって、この劇団のファンじゃないと(役者とかに興味がないと)楽しめないような気がした。
    それよりは、今上演した内容についてのトークのほうが楽しいのではないか。そんなことを思った。

    4

    2010/07/29 07:21

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  • きゃるさん

    ルデコを使う劇団はどれも、この場所であることを前提にしているようで、うまく使っているところが多いような気がします。
    と、いうか、こういう制約が創作のココロを刺激するのでしょうか(笑)。

    2010/08/01 08:32

    アキラさま

    >見切れないところはありませんでしたでしょ? 博士2人が奥の行くシーンとか。

    ああ、そうなんですよね。あそこが見えないと残念ですね。感謝、感謝です。こういう事前情報は本当に有難いです。

    ルデコの空間を生かした公演という点では、「劇団銀石」が「最高傑作」のとき、コンクリート柱で分断されて死角ができるのをあえて逆利用したけど、それと同様、興味深い使い方だと思いました。

    ネタバレにも書いたけど、自分も例の演出はラストだけに賛成です。そのほうが、「え?そうだったの?」と納得できたと思います。そうじゃないと、途中でネタバレになっちゃうでしょう?

    2010/07/31 14:06

    きゃるさん

    コメントありがとうございます。

    >アキラさまのアドバイスどおり

    見切れないところはありませんでしたでしょ? 博士2人が奥の行くシーンとか。

    私は、基本、「面白い」と感じました。ただ、感想にも書いたとおり、演技や演出などのベクトル合わせが足りないと感じてしまったので3つにしました。何かが少しズレているというか、ちょっとしたことで、カチッとうまくはまれば、もっと面白くなりそうと思いました。

    2010/07/31 08:00

    アキラさま

    アキラさまのアドバイスどおり、トイレの入り口寄りの真ん中に座りました。ありがとうございました。この日トイレの利用客ワンサカで、開演までおちつかなかったですけどね(笑)。
    開演直後、劇団メールの「当日、開演時間に遅れた場合、ご入場できません。これは脅しではありません!本当です」という文を思い出して思わず笑いそうになりました。
    それにしてもリアル廃墟で汚かったですねぇ。床のゴミ、埃っぽくて。途中からマスク出されたかたもいて。自分はあまり好きな笑いではなかったです。☆3か2か迷ったんですが、自分の中の残念度が高かったので2にしました。でも、本公演を1度観てもいいかなーと思いました。○○役の武子さんはアキラさんが先日ごらんになったオッセルズの冬公演にも出てたんですよ。

    2010/07/30 19:20

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