月の岬 公演情報 アイオーン「月の岬」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★

    凄くこの物語は気になる。妙に引っ掛かる。

    音楽・三枝伸太郎氏、歌・菊池好凛子ちゃん、津久井有咲ちゃん、牧野湊君。劇中歌「月の岬」が川井憲次の『イノセンス』みたいでカッコイイ。

    ネタバレBOX

    〈作品内に散らばる疑問〉

    ①何故、佐和子は悟と駆け落ちをしようとしたのか?
    ②女子生徒、七瀬と信夫には何があったのか?
    ③悟の佐和子への謎の台詞「じゃあ、この間のことは何やったとね?何のつもりやったとね?」
    ④信夫に度々掛かってくる脅迫電話、信夫を闇討ちした者達の正体と目的とは?
    ⑤溺れた佐和子を救ったのが父親でなく、信夫であるという佐和子の記憶の混同。
    ⑥消えた悟の行方。
    ⑦佐和子は「月の岬」で身を投げたのか?何故?
    ⑧矢鱈水を飲み、佐和子が憑依したようになった直子の謎。「誰やお前?」

    〈仮説〉

    大島の経ヶ崎に伝わる伝説。江戸時代、近親相姦的愛情を父に抱いて長崎からこの島に流された美貌の娘。五年間耐えたが、父恋しさに泳いで帰ろうと満月の晩、海に入り溺れ死ぬ。「月の岬」は普段は歩いて渡れる陸続きの場所だが、満月の晩だけ潮が満ちて岬は切れ、島になる。

    小学生の佐和子は遊泳禁止の「月の岬」で遊んでいて溺れてしまう。娘を助ける為、飛び込んだ父は亡くなる。その受け止め切れない残酷な記憶を封印する佐和子。弟の信夫が助けてくれたことに記憶を塗り替える。

    高校時代、佐和子は恋人の悟と駆け落ちを企てる。小舟で経ヶ崎から長崎へと夜中に漕ぎ出す計画。悟は約束の場所でずっと待っていたが、彼女は結局現れなかった。

    高校教師となった信夫は女子生徒、七瀬に言い寄られる。適当にあしらっていたのだが、キスだけはしてやる。

    大阪で所帯を持っていた悟は、会社を潰し借金を抱え家族を置いて島に逃げて来る。佐和子は思わせ振りなことを言い、キスをする。「もうあんまり無駄遣いは出来んのよ。」

    大学時代からの恋人であった直子と結婚する信夫。傷付いた七瀬は当て付けに他の男子とキスをする。

    信夫の家に度々掛かってくる脅迫電話。七瀬との一件についてのもの。
    悟は佐和子にしつこく言い寄るも撥ね除けられる。その騒動からか直子は流産する。

    帰り道、複数の生徒に襲われて怪我を負う信夫。
    夜になっても帰って来ない佐和子。経ヶ崎で彼女を見掛けた女性が駐在と訪ねて来る。身投げしたのではないか?と。直子は佐和子が憑依したようになり、信夫を問い詰める。

    行方知れずの悟を捜しに大阪からやって来る妻と娘。悟も佐和子も帰って来ない。

    今作のテーマは平岡家の「母親の継承」なのか。
    佐和子は父親を亡くした「月の岬」でずっと死にたかった。高校時代、悟と心中を考えたが果たせなかった。そしてもう一度死にに戻って来る悟。抗う佐和子だったが、自分の揉め事のせいで直子が流産してしまう。ここで佐和子と直子の意識が入れ替わるように混線し出す。「月の岬」で身を投げる佐和子は息子を失った辛さを訴える。直子は佐和子の残留思念と共に生きていく。(悟がどうなったかは判らない)。

    これは劇場アニメ向けの題材だと思う。演出によって様々な解釈が可能。

    0

    2024/03/02 18:29

    0

    0

このページのQRコードです。

拡大