この世界は、だれのもの 公演情報 ながめくらしつ「この世界は、だれのもの」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★

    「ピアノ超人」、ピアノを弾きまくるイーガル氏。膨大な楽譜を見ながら完璧に構築されたオリジナル曲を65分奏で続ける。不協和音を混ぜながら芯がしっかりとしたストーリー性のある楽曲。この人の存在は大きい。

    「ジャグリング超人」、目黒陽介氏。ロジンバッグ(滑り止め)のような白いお手玉を使う。

    「ダンス超人」、入手杏奈さんのファンは必見。凄まじかった。この人がパッと踊り出すと『フラッシュダンス』みたいに華がある。スポットライトが当たったかのようにステージの空気が変わり風が吹く。足の指先一本一本が踊っている。

    「バランス超人」、目黒宏次郎氏。隙あらば椅子や机の角で倒立を始める。

    「回転超人」、安岡あこさん。机の上など狭いスペースでくるくるくるくる回転し続ける。田村潔司か?ルチャ・リブレのコルバタのような動き。物販で手作りのピアスも販売中、大人気。

    無機質に机と椅子が置かれ、太い綱やフープが転がっている。上手端にピアノ。
    目黒宏次郎氏と安岡あこさんのペアは男が必死に女を口説いているようにも見える。徹底して跳ね除ける女。香港功夫映画のような遣り取り。酔い潰れた女を介抱するような場面も。チャップリンっぽい。
    目黒陽介氏と入手杏奈さんのペアは謎のゲームを続けている。互いのやる事を否定して回るような。

    死体(人形)を動かす為には必ず動力源がいる。動かす為のロジック。そもそも人間は無意識でそれを行なっているのだが、自覚的にそのことを突き詰めていくような試み。
    音楽が良いので退屈せずに観ていられる。踊りというよりも闘いだ。
    是非観に行って頂きたい。

    ネタバレBOX

    これは何かずっと考えていたのだが、ラストの組んずほぐれつを観てプロレスだと思った。65分時間切れ引き分けが決まっている試合。男女混合ミックスドタッグマッチでもいいし、男女混合ミックスドバトルロイヤルでも構わない。この時間切れ引き分けの試合は一番大変で、腕がないとファミコン・プロレス(技の羅列)になってしまう。1988年8月8日横浜文体で行なわれた60分時間切れ引き分けの藤波辰巳VSアントニオ猪木が一つの到達点。最早文学だ。
    「他者への関心」というテーマは伝わらなかったが、いい試合だった。

    ここから余談、プロレスは決まり手とおおよその試合時間が予め決められている。長い間に進化を遂げてHigh Spot(日本ではハイスパートと呼ばれた)という観客を盛り上げる見せ場となる技の応酬を幾つか約束事に入れていった。それを多用し過ぎるとダンスの振り付けのようになってしまうので、猪木や佐山は悪し様に罵った。(踊りのように最初から最後まで技の順番まで決められているプロレスも多い)。最低限の約束事以外の基本はアドリブでこなすのがストロングスタイル。「八百長だと客に舐められたらおしまいだ!」が力道山の教え。(真剣勝負ではないが)舐められないプロレスが日本の流れだった。時代は変わり、その辺のグレーゾーンがウザくなった奴等が真剣勝負の総合格闘技とエンターテインメントを標榜するアメリカンプロレスにハッキリと分かれた。日本独自の文化、グレーゾーン・プロレスはほぼ絶えた。

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    2024/03/02 09:46

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