実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2024/02/22 (木) 14:00
座席1階
「ぼっちりばぁ」とは高知県土佐清水市の方言・幡多弁で「ちょうどいい」という意味だそうだ。劇作を担当した竹田モモコは大阪の演劇ユニット「ばぶれるりぐる」を主宰していてるが、旗揚げの理由は幡多弁を使った芝居を打つためという。こまばアゴラであったこのユニットの「川にはとうぜんはしがある」を見たかったのだが見逃した。注目していた劇作家が青年座によって見られたのはとても幸運だった。
夫婦で経営しているさびれたキャンプ場が、近隣の浜辺が夕日がきれいということで注目され、東京のアウトドアの会社がアドバイザーを送り込んできた。リニューアルオープンに向け、地元の人たちを「教育」しようとするのだが、昔ながらのやり方を変えられず、アドバイザーたちは悪戦苦闘する。テンポのいい会話劇が繰り広げられる。
中でも注目されるのは、アルバイトの女性。彼女はフロントでお客を受け付ける役なのだが、お客が来ても電話が鳴っても何もしゃべらない。なぜそうなのかは劇が進むと明らかにされるが、この女性を取り巻く騒動もおもしろい。エピソードの面白さや物語の構成などは、IAKUの横山氏をほうふつとさせる出来栄えだ。
演じる俳優たちはベテランの尾身美詞ほか安定した演技。特に、アルバイト役の角田萌果は取っ組み合いの場面もある中で体当たりの演技。「空気を読む」ことが苦手な発達障害と思われるコミュニケーションの悩みなどもうまく表現していた。
ただ、初めて聞く「幡多弁」は難しい。耳で聞くだけだと意味がくみ取れない場面もしばしば。劇団「普通」が茨城弁の舞台をやり続けているが、方言で構成する舞台の難しさを感じる。