Musical  Collection 1 陽だまりに青 公演情報 Muse:Am「Musical Collection 1 陽だまりに青」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    Muse :Am旗揚げ公演とは思えない珠玉作。この団体は「生の音にこだわった作品創りを心掛け、劇中の音楽は全て生のピアノ一本で紡がれる」としている。歌とピアノで抒情的な雰囲気を漂わせているが、フィンセント・ファン・ゴッホという特異な存在が現実の世界へ。ゴッホ兄弟の生涯を義妹の視点で描いているが、肉親とは異なり 少し距離を置いた客観的な感情といった印象だ。

    舞台美術は、オフホワイトを基調にしたシンプルなものであるが、場面に応じてプロジェクターでゴッホの絵画を投影する。団体名「Muse :Am」は、MusicalとMuseumの融合で、演劇を「体験」する「目撃」する「鑑賞」するを意としている。その意味では、この演出は団体の真骨頂と言えるだろう。
    (上演時間1時間35分 途中休憩なし)

    ネタバレBOX

    舞台美術は、天井に白い紗幕や額縁、板上は二段になっており脚立のような半階段、イーゼル、ハンガーなどが置かれ、後ろはシーツで映写幕を兼ねている。全体的にオフホワイトで浮遊感があり、また これからの人生を何色に染めるのかといった隠喩が込められているよう。因みに冒頭は「ファン・ゴッホの寝室」の絵画が映し出されていた。

    物語は、アムステルダムで英語教師をしていたヨハンナ(渡辺七海サン)とテオドルス・ファン・ゴッホ(宮脇僚汰サン)が偶然出会い、テオドルスからのプロポーズを受け結婚するまでを甘酸っぱく紡ぐ。そして彼の口から兄フィンセント・ファン・ゴッホ(粂川雄大サン)との思い出 話を聞く。回想の中における時間の変化を流光のような照明で表現するなど丁寧な観せ方だ。また大きな箱鞄を運び入れ、衣裳や小物の出し入れをする。これもフィンセント・ゴッホの頻繁な旅や転居を表しているようだ。

    物語は、世界的に有名になったフィンセント・ゴッホの 良き理解者で支援者であった弟との関係を中心に描く。そして弟のテオドルスの妻として、またフィンセントの義妹として彼ら兄弟の関係を、或る時までは微笑ましく見つめていたが…。それはフィンセントが片耳を切り落としサナトリウムに入院している間も変わりなく支援していた。彼女にとって 夫そして生まれてきた息子、その暮らしを思うことが第一。その心情は当たり前…夫の画商として独立したい夢と余命、フィンセントに振り回されたという思い、諸々の感情と激高がクライマックス。勿論フィンセント・ゴッホの最期まで描く。惜しいのが、画家ゴッホの芸術家らしい思索と苦悩といった内面が十分描き切れていないところ。事実の断片が描き紡がれるが、その懊悩が何かといった面を もう少し掘り下げられれば…。

    ピアノの生演奏(久野飛鳥サン)、またキャスト3人の生歌も心地良かった。勿論、場面に応じた衣裳替えと情況に応じた歌が心情表現として利いていた。またピアノは音楽だけではなく、例えば、赤ん坊の泣き声など、音響効果としての役割も担っていた。
    次回公演も楽しみにしております。

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    2024/02/12 05:43

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