レベッカ 公演情報 東宝「レベッカ」の観てきた!クチコミとコメント

  • 酷評です。
    ええと、始めに言っておきます。『Rebecca』の制作者である脚本家Michael Kunzeと作曲家Sylvester Levayのコンビは僕の最も好きなミュージカル制作者です。『Rebecca』の楽曲も大好きで、オリジナルキャストのCDを何百回と聞いています。そういうわけで、この作品自体は好き。でも日本版がどうしても気に入らない。だから酷評です。

    よろしければ、ネタバレBOXどうぞ。

    ネタバレBOX

    演出が陳腐。日本で演出されるミュージカルで頻繁にあることだけれど、台詞だけのシーンで流れがブツリと途切れる。これ一番致命的。台詞から感情が高ぶって歌になるのが理想なのに、歌っているときだけが演技になっている。「突然歌い出す」イメージが定着するのも無理はない。
    舞台美術はゴチャゴチャしていて綺麗でない。あちこちの方向にばら撒かれた光の線には最初は衝撃を受けたものの、何回もとなると飽きてしまう。そして同じシーンで、一部まったく何の意味もなく壁に光を当てていたのは何故。こういう細かいところがしっかりしていないと駄目。
    無駄に映像を使った風景演出には閉口。何よりレベッカの姿映像で出すな。しかも美しくない姿だ。最初何あれと思っていたが、気付いて完全に冷めた。目に見えない存在だからこそ恐怖が生まれるんだろう。もしどうしても出したいのなら、映像じゃなくて生身の人間を使った方がよほど効果的。『ウーマン・イン・ブラック』は実際恐怖だった。
    本火には期待していたけど全くもって大したことなかった。どうせ使うならブロードウェイの『Jekyll&Hyde』のように格好良く使えばいいのに。これに至っては超主観ですが。

    役者は大塚ちひろがやはり大好き。オープニングはやはり鳥肌が立ちっぱなしだった。初演では同じくオープニングから歌が良すぎて泣いた。シルビアはひたすら凄い。発声や佇まいからしてもう。山口祐一郎さんは山口祐一郎さんですね。吉野圭吾さんはもう自由すぎてなんか素晴らしい。

    「作品自体は好き」とか言ったものの一応触れておくと、脚本はKunzeの作品の割にはそれほどでもない。ヒッチコックの映画に勝るものが見えない。ミュージカル版で新たに加えられたベン役もそんな活きてない。Levayの音楽は言わずもがな。好きすぎて涙出てくる。今回一曲だけ新曲があって狂喜乱舞。

    ちなみに二人の作品で一番好きなのは『Elisabeth』ですが、これも演出で好感度が違って、Wien版>>>>宝塚歌劇版>>東宝版。Wien版は物語の深さも、小池さんが脚色している日本版とは大きく異なっています。ここまでくると、ただのミーハーですわな。でも好きだからこその酷評なのです。

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    2010/07/21 01:52

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