実演鑑賞
満足度★★★★★
物語は大正12年(1923)の大晦日から始まり、令和6年(2024)の元日までの100年間の木村家における正月をシームレスに描く。衣裳やメイクはそのままでも台詞一つで大正12年と思っていたのが、いつの間にか昭和元年(1926)になるという具合で実に演劇的な見せ方。登場人物たちはどんどん年齢を重ね、子供たちは大きくなり、上の世代は一人、また一人と死んでいく。その死は該当人物が下手にある地下への階段を降りていくことで表現されるのも印象的。
木村家の家業も最初は酒屋だったのが、純喫茶になり、カラオケを取り入れたりと時代ととに変化していく。一方、木村家の隣には代々神職を務める田崎家があり、最初の時点では博の幼馴染の克也が顔を出す。やがて父親が死んで克也が宮司になると養子の春彦が…という具合に神職同様、こちらも受け継がれていく。時代とともに変化する家庭もあれば、伝統を変わらず守っていく家庭もあるが、どちらにしても家というものを大事にしていくという、ある意味、日本らしい価値観は共通しているように見える。