時代絵巻AsH 其ノ拾七『暁月〜あかつき〜』 公演情報 時代絵巻 AsH「時代絵巻AsH 其ノ拾七『暁月〜あかつき〜』」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

     べし観る! 追記2月3日20時52分
     土佐藩は可成り特殊な藩である。家臣団が上士、下士に分かたれ上士は下士が気に入らなければ殺すこともでき咎めは一切受けずに済んだからである。背景にはこの地を治めていた長曾我部氏が関ケ原の戦で敗軍に従いていたという理由がある。長曾我部が治めていた領地は山内氏の領する処となった。新領主・一豊は旧藩主の家臣団を下士と定め、自らの家臣団を上士と定めて上記の如く権限に圧倒的差を設け旧長曾我部家臣団の反乱を抑制した。以降江戸時代末迄この制度が保たれた。

    ネタバレBOX

     今作の主人公は人斬り以蔵として今に至るも名を残す土佐藩郷士・岡田以蔵である。人口に膾炙した描かれ方では剣はめっぽう腕が立つが知的才能には恵まれず、唯その余りの強さに人々は怖気を揮うという体のものだったが、今作では実に敏感な感性に恵まれ記憶力抜群で、自然の持つ奥深さや繊細な多様性をキチンと受け止め、どちらかと言えば受け身の虫も殺せぬ優しい性格の人物として描かれている。掛かるが故に京の旅籠で出会った子供たちとも直ぐ仲良くなり子供たちから以蔵ちゃんと呼ばれて遊ぶのである。
     一方、本質的に受け身な生き方なので激動の幕末の、まして上士、下士で大変な差別のあった土佐で同じく下士の武市半平太を盟主とし藩を挙げて攘夷を唱えたという形を採った土佐勤王党盟主の言を至高のイデオロギーとして捉えたというより、運動初期には人的魅力もかなり持ち合わせていた半平太の人柄に魅入られ、彼の命令なら例え己の心と魂がどんなに傷つこうと従おうとし、実践した極めて特殊な利他主義の純粋性を貫いた子供のようにナイーブな人物として描かれることで、尊王攘夷運動の中で人格的にも大いに変化してゆく半平太、藩内で異なるイデオロギーを持つ実力者であった吉田東洋との確執から東洋暗殺に至る政治に振り回される同士、藩主・山内容堂の立場・見解などのあれこれ。つまり大人の権謀術数の嫌らしい世界と対比される。然も東洋の甥にあたる後藤象二郎は東洋暗殺の下手人を探して苛烈な調べを行い、上士、下士の断裂を見事に描き出すと共に士族に属さぬ町民としての旅籠の主人ら庶民の価値観も対比され動乱の幕末以降の日本を町民の視点で物語途中から見透かすような台詞も入る。そのような新時代の夜明け前、一番暗かった時代の有様を政治史としてではなく、余りに純粋で感受性豊かな一人の人物の余りに痛ましくそれ故に哀れそのものであり美しくもある生き様を賭して提起した。坂本龍馬の頼みで勝海舟の護衛をし壬生浪士組七名の襲撃を撃退したシーンは見もの。また、沖田総司との不思議な友情も剣の天才同士の不可思議な照応の為せる業であったのだろう。二つの純粋な魂のこのコレスポンダンスも良い。また旅籠屋の長・喜兵衛の孫・喜作が土佐藩上士に斬られた刹那、間髪を入れず刀を振るった以蔵の人間味も今迄描かれなかった側面とみて良かろう。演じたのは無論、黒崎翔晴氏。その後収監され土佐の牢獄で拷問を受けた際、会いに来た以蔵の父の深い愛情表現もグー。

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    2024/02/02 13:09

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  • 皆さま
     ハンダラです、追記遅くなりましたがアップしました。
    ご笑覧ください。
                            机下

    2024/02/03 20:54

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