わが友ヒットラー 公演情報 Project Natter「わが友ヒットラー」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★

    浅野さんがいい!
    レームとシュトラッサー、あまり耳馴染みのない名前だと思ったら、まだヒットラーが、完全に権力を手中に治める以前の話だったのですね。

    自分の勉強不足のせいで、そのあたりの関係性がイマひとつ掴めなかったため、1幕はやや退屈でしたが、2幕の丁々発止のやり取りは、大変興味深く観ることができ、結果的に、それ程、長かったという印象はありませんでした。

    浅野さんは、いつもながら、その役をしっかり生きて舞台上にいらっしゃいましたが、ヒットラー役の役者さんの演技は、あれで良かったのかと、やや疑問を感じました。

    「サド公爵夫人」と対を成す作品として、三島は書いたそうで、確かに、構成的には非常に似通っていましたが、私としては、「サド~」の方が、スリリングで、好きな作品でした。どちらも、1幕は冗長ですが、2幕になると、面白くなる点も似ていました。

    ネタバレBOX

    最初のシーンは、ヒットラーも、レームも、シュトラッサーも、後ろ姿で、舞台奥に向かって、演説している演出ですが、この時の、ヒットラーの演説にかなり疑問を感じました。もちろん、彼が全権を掌握する前の演説ですから、我々が知っている演説程、人心を惹きつける喋り方ではなかったのかもしれませんが、それにしても、口調が間延びし過ぎて、何だかヒットラーと言うより、昭和天皇のようでした。
    また、途中から、クルップに呼ばれて、レームとシュトラッサーとの、それぞれの2人芝居になる部分、相変わらず、ヒットラーは後ろ姿のまま演説を続けますが、この後ろ姿に、ヒットラーらしさが皆無なのも気になりました。

    それにしても、三島の台詞劇の膨大さと言ったら、これはもう物凄い量の台詞で、これを淀みなく喋るだけでも、この出演者には敬意を表したくなります。

    所々に、胸に沁みる台詞もたくさんあり、さすが、三島作品という、満足感はありましたが、1幕が終わり、休憩案内が聞こえた途端、客席から、一様に「フウー」というため息の合唱が起こった時には受けました。
    演じる方も、観る方も、相当根気はいる芝居でした。

    6

    2010/07/19 23:29

    0

    0

  • アキラ様

    その本に興味ありますと言ったものの、書名も作者名もわからず、どうしたものかと思案に暮れていたところでした。(笑)

    御親切に、いろいろ教えて頂き、恐縮です。ありがとうございました。
    「ヒットラー最後の12日間」は、観たかったのですが、あいにく時間がなくて未見でした。
    本だけでなく、その映画の方も、機会をみつけて観てみようと思います。

    子どもの頃、「サウンド・オブ・ミュージック」を観て以来、ナチスドイツには少なからず、興味がありますので…。

    2010/07/24 15:44

    KAEさん

    >女性秘書が書いたという書物は大変興味がありますので、その内、是非読んでみたいと思いました。

    このお芝居と少し離れますが、その本は、ゲルトラウト・ユンゲ著『私はヒトラーの秘書だった』 草思社です。
    陥落直前の総統官邸にいて、ヒトラーやその側近たちの様子を間近で見た人の本ですので、とても興味深い本でした。
    ちなみに、この本を原作の1つとした映画に、ブルーノ・ガンツがヒトラーを演じた『ヒトラー 〜最期の12日間〜』があります。

    2010/07/24 06:30

    アキラ様

    再びのコメント、ありがとうございます。

    はい!アキラさんが、普段のヒットラーの喋り方はあれで良いとお考えなのは、重々承知しています。アキラさんのレビューで、普段の喋り方はあれでいいと書いていらっしゃいましたし、私へ頂いた最初のコメントでも、「やや同感です」と書いていらっしゃいましたしね。
    この「やや」は、私へコメント下さる時の、アキラさんのご表情まで推察できる重要ポイントですから、見逃していませんよ。(笑)

    だから、アキラさんが私に同調して下さったと、私が誤解したのではないことは、どうぞ誤解しないで下さいね。(笑)

    その、女性秘書が書いたという書物は大変興味がありますので、その内、是非読んでみたいと思いました。

    実は、私の観劇した日に、私の後ろの席の方が、大変な観劇人らしく、同行の方と、4日連続ご覧になったお芝居の話をされていたのですが、その方、とても楽しみにいらしたらしいのに、舞台が始まってみると、ほとんど寝息を立ててオヤスミになってしまったんです。
    ところが、あの笑いを取るシーンでは、きちんと起きて笑っていらっしゃいましたから、それもあって、あー、こういう部分があった方がいいのかもと、私は余計感じてしまった気もします。

    演劇って、面白いですよね。その芝居の内容だけではなく、こうした、観劇環境でも、微妙に、その芝居の印象が左右されたりしますしね。

    それに、アキラさんと、こうして、あの芝居におけるヒットラー論に興じて、あの役者さんの演技を反芻していたら、いつの間にか、彼のヒットラーの存在が、私の頭の中で、肥大化を始めました。
    何だか、期せずして、彼のヒットラーが、私の中で、定着してしまいそう。(笑)

    演劇って、観た後も、こうして自分とは感じ方の違う方と語り合うことによって、更に、印象が強く残るのだという事実に今気付かされました。

    2010/07/21 10:04

    KAEさん

    私もそれほど知識があるわけではありませんが・・。

    >ヒットラーはヒットラーなのだから、幾らなんでも、あんなに穏やかな口調でいいのかしらと、大変不思議な気持ちがしてしまいました。この芝居のヒットラーでは、とてもあんなことをしでかす人には到底思えませんでしたし…。

    穏やかな口調でいいと思います。だって、昔からの友人と話しているのですから、穏やかな面もあるでしょう。人望がなければ、党の中からトップに立てるわけはないでしょうし。
    末期の女性秘書が書いた本を読みましたが、ベルリン陥落の間際の頃でも、軍人以外に接するときは(軍人に対しては癇癪を起こしていたようですが)、穏やかな人だったようです。「あの人がそんなことを!」というイメージだったようですね。

    私は、独特のリズムに乗った口調が気になったのです。

    >友人であったレーム達を粛清した後の狂気染みた表情

    一番苦しい時期に一緒に戦ってきた同士であり、友人を粛正したという苦悩が溢れていたと思います。


    >あーいう部分が少しはないと、観客は肩が凝ってしまいそうでしたから、私は、あの演出はありかなという印象でした。

    私は、もうガチガチな堅い重苦しい雰囲気のままで、この物語は成立していると思っているほうなので、「なし」(笑)だと思いました。台詞が面白いのでその雰囲気を壊さないでほしいなと(笑)。

    2010/07/21 06:27

    アキラ様

    コメントありがとうございます。

    私は、アキラさんのように、ヒットラーについて、あまり知識がないので、ニュルンベルク裁判で、裁判に掛かったゲーリングや、ヘスや、ヘルマンなどの名前や行いにはそれなりの知識はあったものの、この芝居に描かれていた時代のヒットラーやその取り巻きの人々に対する予備知識がほとんどなく、自分の感想にあまり自信が持てなかったのですが,アキラさんでも、疑問を感じられたと伺い、少し安心しました。

    そうなんですよね。いくら、レームとの友情に焦点を当てるためだとしても、ヒットラーはヒットラーなのだから、幾らなんでも、あんなに穏やかな口調でいいのかしらと、大変不思議な気持ちがしてしまいました。この芝居のヒットラーでは、とてもあんなことをしでかす人には到底思えませんでしたし…。

    ただ、最後に、友人であったレーム達を粛清した後の狂気染みた表情は、それまでの雰囲気とは大分様子が違いましたから、あの役者さん的には、きっちり計算ずくで役作りなさっていたのだろうとは感じたのですが…。

    アキラさんが、疑問を投げかけていらした、おふざけじみた演出も、あの芝居があまりにも気が抜けないタイプの作品なので、お客さんの息抜きのための、演出家の好意的な趣向だったのではと思いました。
    あーいう部分が少しはないと、観客は肩が凝ってしまいそうでしたから、私は、あの演出はありかなという印象でした。

    2010/07/20 18:40

    KAEさん

    >ヒットラー役の役者さんの演技は、あれで良かったのかと、やや疑問を感じました。

    私もやや同感です。まあ、プライベートでは人なつっこい感じにしたのかな、という程度ではありますが。

    >ヒットラーの演説にかなり疑問を感じました。もちろん、彼が全権を掌握する前の演説ですから、我々が知っている演説程、人心を惹きつける喋り方ではなかったのかもしれませんが

    すでにヒットラーは首相の座にあり、組閣もしていますので、本来ならば、人を惹き付ける演説だっただろうと思います(大統領選ではヒンデンブルクに次ぐ第二位の得票数でしたし)。ですから、「あの演技(演説)でよかったのか」と私も思うわけです。

    >三島の台詞劇の膨大さと言ったら、これはもう物凄い量の台詞で、これを淀みなく喋るだけでも、この出演者には敬意を表したくなります。

    まさに私もそう思いました。単純に凄いなと(笑)。

    2010/07/20 07:45

このページのQRコードです。

拡大