イカロスのかけら 公演情報 NICK-PRODUCE「イカロスのかけら」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    雰囲気はとてもよかったです。
    チェロとピアノの音の絡み合いと照明の雰囲気がとてもよく、大人になってよかったなと思わせてくれました。
    映像作家志望である役者が手にしているカメラで撮った映像を、リアルタイムに壁に映し出す演出も面白かったです。
    色々と実験的な内容なのかとも思いましたが、最後には全ての伏線をキレイに回収し、とてもいい70分間を体験させて頂きました。

    ネタバレBOX

    兄と弟の二人兄弟の母親はある日突然失踪をし、数年後に骨壷が送られてきた為にもう死んでいると思っていたら、実は南フランスで生きていてしかも大成功して資産30億、でも末期の膵臓癌の為に入院して死にかけていて、死んでからの遺産相続だと税金が掛かるから自分が生きているうちに生前贈与をしたい、と代理人を通じて関係者が集められたところから芝居は始まる。
    30億の資産だけでも驚くのに、いきなり種違いの兄弟が登場し、実は母親は再婚で駆け落ちだったと知らされたり、兄嫁の実の父親は女装趣味の変身スナックの店長であり、しかも兄弟の両親そろってその店の常連であったりと、いきなり付き付けられる情報量の多さに、全ての伏線を回収できるのかと心配になってしまいました。
    確かにどのようにでも膨らませられる内容ではあると思うが、それをあえて『あっさり』としたところが良かったように感じました。
    30億の資産を巡ってドロドロとした人間模様を描いたり、逆にキャラクターの心情を全面に出してコメディにしたら、音と映像と芝居の丁度良い関係性が崩れてしまっていたように思います。
    全ての原因を作りだした母親は一切登場せず、父親も登場しないまま、30億の資産もいきなり増えた親族も、ほとんど受け流して物語は進められて行く。
    最後の最後で南フランスの母親から『資産は次の事業に使うから遺産相続はやっぱり取りやめ、ごめんね』の電話で騒動は終わりになるのだが、遠く離れた南フランスにいて声も姿も登場しない『母親』に、振り回されるだけ振り回される人々の喜(悲)劇、この振り回され感がこのお芝居の中核なのかなと思いました。
    『まあ、あの人なら仕方がないか』で済まされてしまうあっさり感。
    軽い雰囲気の芝居を楽しませてもらいました。

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    2010/07/19 14:45

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