イカロスのかけら 公演情報 NICK-PRODUCE「イカロスのかけら」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★

    趣向倒れの感も
    初見の劇団。前回の公演のときに面白そうな劇団だなと注目し、今回クロカミショウネン18のワダ・タワーが客演するというので、この機会にと思って観にいった。1時間10分という比較的短い時間の芝居で、2つのドアを使い、シアター711をまるでギャラリー公演のような空間使いにした。映像を挿入したり、ピアノとチェロの生演奏も入り、趣向としては大変面白いのだが、芝居の内容そのものがあまり面白くないと思った。もっと緊迫感のある脚本だったらこの趣向も生きたのにと思うと残念。

    ネタバレBOX

    HPの以前の公演写真を見て、ダンスパフォーマンスも取り入れたもっと抽象的な内容を想像していたが、意外に普通の芝居だった。田所という見知らぬ人間からの葉書を手に、「曽我久仁子の追悼式」に参列すべく、ゆかりの人々が会場のシアター711に集まってくる。チケットがその葉書になっているところが洒落ている(細かいことを言うと、文中「ご来臨」という最上敬語を使う場合は「賜りますよう」と続けるのが普通かと)。
    まず「追悼式」を執り行う意味が「列席者たち」同様よくわからなかった。横溝正史の小説のようで期待感をもたせ、家族や友人の複雑な事情が明らかになっていくが、意外にあっさり決着がついてしまう。曽我久仁子という人物の意図もいまひとつ不明。話の展開が面白くないためか、こんなに短い芝居なのに途中で眠気を覚えた。特に田所が持っているクマのぬいぐるみ型通信機を使っての久仁子とのやりとりの場面が子供騙しのように馬鹿馬鹿しい。
    なかなか個性的な俳優をそろえただけに惜しい。田所の松本寛子をはじめ、異父兄弟・涼の柏原直人、涼の恋人・美鈴の木母千尋、変装バーの主人で久仁子の友人・ロザンヌの佐藤大樹が印象に残った。久仁子の長男誠役のワダ・タワーはクロカミショウネン18での役どころを思わせ、笑わせてくれた。生演奏は大変耳に心地よかったが、芝居そのものにうまく溶け込んでいたかと言うと疑問が残る。
    なかなかユニークな試みだとは思うので、回を重ねて洗練されていくのではと期待している。

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    2010/07/17 05:46

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