満足度★★★★
ないものねだりの民と神。
日本神話の神々を語り口に、有限に存在している人間の尊厳を逆説的に描く作品。
神さまも人間と同じように欲深く『ないものねだり』をしてしまうよ、という視点が面白い。
物語は会話劇として成立させながら、ここぞという時には身体性の躍動感でもってキメてくるので、物語にうねりがあった。
天井の高い吉祥寺シアターを存分に生かした舞台美術、橙色に浮かぶ照明、丁寧に制作された衣装はどれもシンプルでありながら作品の持つ、浮遊感のある不思議色に違和感なく染まっていた。
韓国から招かれたべク・ソヌさんの演技がとにかく素晴らしい。『女の一生』という難しい役どころを気負いせず、非常に豊かに表現されていた。
特に役者、演出家を志しているひとに観てもらいたいですね。彼女の佇まいから『演劇』について何かを得られるような気がします。