満足度★★★★
立体的宗教画のような豪華さ
歌舞伎、シルク・ド・ソレイユ、イリュージョンをミックスしたような豪華で楽しい舞台。蜷川ワールドを満喫できる。冒頭、木場勝巳の口上場面は江戸歌舞伎の名乗り台を思わせて面白い演出。
歌舞伎の下座音楽と、ルネサンスの宗教音楽が同時に鳴る中、花火が噴き出し、フライイングを駆使して、まるで立体的宗教画のような美しさ。主役の野村萬斎はファウスト博士というよりは、宝塚時代の涼風真世の「銀の狼」のシルバを連想する銀髪の美男ぶり(涼風は宝塚の小池修一郎作品「天使の微笑 悪魔の涙」でメフィストフェレスも演じている)。勝村政信、白井晃、長塚圭史も贅沢に配置し、いつもより印象がかすむほどだ。仕掛けの奇抜さに眼を奪われるせいかドラマとしての深みや感動はいまひとつの感。ただ、萬斎ファンなら必見の舞台かもしれない。