真夏の迷光とサイコ 公演情報 モダンスイマーズ「真夏の迷光とサイコ」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★

    もっと行けるはずの、深みにまでは到達してない感じ
    円形劇場をうまく使い、引き込まれるところもあるが、(私の個人的な)大きな期待に対しては、もうひとつだったように思う。

    ネタバレBOX

    モダンスイマーズには、台詞同士から生まれるような、ねっとりした重さを期待していたのだが、そうでもなかった。

    それは、ひつとには設定にあるのではないだろうか。
    つまり、とてつもないお金持ちだという設定が、妙に現実感を伴わない。
    それが「意図」として仕組まれていたとしても、最後にその「意図」にループして行かない感覚が残るのだ。

    現実離れをした設定が悪いというのではない。その「現実離れ」をしたと感じる要素のどこかに、現実という場所へのアンカーのようなものがあれば、観客はそれを頼りに観るのではないだろうか。
    現実離れをしていることを徹底して選んだのであれば、それを徹底してほしい気がする。それは、現実との「距離感」を大切にしながらで。
    そのバランスが、どうもしっくりこなかった。

    現実というキーワードで言えば、現実を見ることのできない姉弟の話であり、そこには「現実感」が希薄なのはわかる。
    だけど、現実との「接点」が、使用人たちや出版社の人たちなのであろうが、その人たちには、やはり希薄な印象を受けてしまう。
    下世話な話(エピソード)があるようでも、なんだか現実感が伴わないのだ。

    とは言え、円形劇場使い方は面白いし、ドラムの生演奏はとてもよかった。

    YOUさんの無機質な感じは、とてもこの舞台と合っていたと思うが、それは何かの「対比」によって際立ったのではないだろうか。そこは残念。
    弟ではなくて。

    YOUさんと他の出演者との、静かな台詞のバトルのようなものも欲しかったと思う。

    ラストで、一見、前向きに見えても、つまり、姉は外に出ることを、弟は姉について行くことを決断しても、姉弟は、最後まで現実を見ることができなかったように思える。その感じはとてもいいと思った。
    「人は簡単に変わることなんかできないんだよ」と言ってるようで。

    全体的な出来はいいと思うのだが、個人的な期待値よりは低かったという感じだ。
    だから、星はやや辛め。
    用意していた「笑い」の部分がちょっと中途半端かも。

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    2010/07/14 07:29

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