実演鑑賞
満足度★★★★★
初日。
個に応じた教育が叫ばれて久しい。その理念は正しいし、そうあるべきだけれど、ネットの匿名で誰かを叩くことでストレスを解消するような現代では、ただ教育力を失っているように思えてならない。生徒や保護者の顔色ばかり伺って当たり障りのないことに終始する学校で夢は語れない。夢は育めない。
世に学校へ行けなかった人はいても、学生でなかった人はいない。エピソードはどれも、うんうん そうだそうだと頷けるモノばかり。大人になれば、それはちっぽけなことなのだよと分かっても、その時はその世界が人生の全てであり、うまくいかないことがこの世の終わりのように思えてしまうもの。けれど、今なおそんな若者の中に立ち続ける大人は、それを客観視させてもらえない。だから……この作品から少しばかりの光が見出せないかと願いながら150分を生きてみる。
良い作品はあっという間と言う。そうそう……いや、それは違う……そんな感情にグラグラと揺さぶられていたら、突然その時が訪れた。こんなに短い150分を経験したことがあっただろうか。
遠く彼方に光は差していたのだろうか。差しているのだろうか。混乱したまま数日を過ごしている。答えなんて見つからない。けれど、少しの勇気を渡されたような気もしている。もしかしたら責任なのかもしれない。千秋楽を観た時、もう少し先へ進めるだろうか。光を感じることができるのだろうか。それはわからないけれど、もう一度あの150分を生きることが嫌ではない。
少し違う立場からアプローチする井神沙恵さんととみやまあゆみさん、パラレルワールド的なハマカワフミエさんが作品を色鮮やかにする。
堤千穂さんが立ち上げたキャラクターが秀逸。同僚に居たらどう接するのか、自分でも想像がつかない。ただ、本音をぶっちゃけてしまうヤラカシ具合が似ていて苦笑する。
幸あらんことを願う。