8割世界番外公演『欲の整理術』×『ガハハで顎を痛めた日』 公演情報 8割世界【19日20日、愛媛公演!!】「8割世界番外公演『欲の整理術』×『ガハハで顎を痛めた日』」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★

    やっぱりコメディ寄り
    内容も上演時間も異なる作品の二本立てでしたが、明暗もはっきりと分かれてしまっていたように感じました。
    あえて二本立てにした狙いは何だったのだろうと考えてしまいました。
    『コメディ劇団がコメディじゃない芝居を上演する』と明言していたので、もっと硬派な芝居を見せてくれるのかと思っていましたが、かなりコメディ寄りでした。
    外部から脚本家を招いたのですし、最初からコメディ路線で行く事を考えていたわけではなく、演出で8割世界らしさを引きだしたと言うことでしょうか。
    8割世界のカラーは出ていたと思いますが、先に繋がる可能性を広げて見せてくれたかと問われると、ちょっと疑問を感じてしまいました。
    どちらか一本に絞って、本腰入れて公演したらまた違ったものが見られたのかなと思います。
    せっかくの面白い試みなので、次に繋げて欲しいです。

    ネタバレBOX

    『欲の整理術』
    数年後の日本と言う国が、日本人ではなく知能を付け始めた豚に支配されていて、支配に対し抵抗しようと立ち上がった革命家達の話。
    脚本は面白いと思いましたが、なかなか入り込めませんでした。
    一番気になったのは、音の演出方法です。
    音を演出する時は『何を聞かせたいのか』一番大切で、『音はあって当たり前。無いと違和感。気付いて欲しい時は大きい音』を念頭に置いて演出するのだと考えていますが、このお芝居ではとにかく全部の音が必要以上に大きかったのです。
    全体的に音量が大きいのではなくて、個々の音全てが大きいので、どこに注目して欲しいのか解りにくく、役者の台詞や演技を殺してしまっているように感じました。
    音と言う意味では、支配者でありまだ上手く日本語を話せない『豚』の、言葉の選び方や節回しは独特で面白かったのですが、日本語発音が流暢だったのも現実に引き戻されました。
    単語の意味と分節をしっかりと理解していないと発音というものを流暢には行えませんし、そもそも声は骨格に左右されるものなので、もっとたどたどしい言葉使いにすれば、知能発達の途中段階で人間とは解りあえない生き物の不気味さを表現できたのかもしれません。
    普通に話すのでしたら、、ボコーダーやフランジャーをかけて機械を通したっぽい音声にしてしまうと、感情が削ぎ落とされた感じが表現できて、種族の壁を感じさせられると思います。

    それぞれのキャラクターも立っているのですが、何だか小さく纏まって終わってしまった感じでした。
    もっと尖がって際立たせたら、それぞれのコントラストで奥行きが広がったのかなと思います。
    30分と言う短い時間で、最終的に着地点まで持って行けたのは素晴らしいと思いました。
    でもこの作品、観終わった直後よりも、日数がたってからの方がじわじわと面白さを感じられる内容でした。

    『ガハハで顎を痛めた日』
    民間からの社会人経験者を中学教師として採用し、人生経験を生かした指導を行って貰おうという名目で集められた、初授業を明日に控えた新人教師達がロールプレイのシュミレーションを通し心情を明らかにしていく場面と、現役女子中学生の日常場面が絡み合いはしないけれど一つの舞台で展開されていくお芝居。
    こちらは脚本も解り易くもあり、素直に面白かったです。
    先生役の役どころも、押しつけがましくも熱血、斜に構えた皮肉っぽいクール、明るく能天気な体育教師、教師になるのは夢だけどそれをはっきりと言わない当たり障りのない先生、息子が自殺未遂して命の大切さを伝える為に教師になった人、と様々なタイプを用意してあってそれぞれの役者さんが見事に演じきっていて、それぞれのキャラクターの持ち味がはっきり伝わってきました。
    女子中学生の二人も、視線の送り方やちょっとした仕草、結論のでない(今考えると)くだらない話を真剣に思いつめて話す演技等、素晴らしかったです。
    芝居上での絡みはありませんが、現役女子中学生の焦りや不安を含んだ日常と、新人教師の不安と希望のコントラストも見事でした。
    最後の事件報道と、楽しくじゃれ合う女子中学生の二人の姿に集約されているのかなとも感じました。


    会場内はとにかく暑かったです。
    満員のお客さんに、梅雨時期特有の湿気で座っていても汗が出てくる。
    しかも、選挙投票一日前に青梅街道沿いと言う事もあって、芝居の合間に選挙演説が聞こえてくる。
    仕方ない事なのかもしれませんが、救急車の音も聞こえていました。
    芝居に入り込みにくい環境なので、劇団側もお客さんも大変なだったのかもしれません。
    ☆は二つ合わせての平均評価で付けました。

    開場で購入した『勝馬』のDVDをさっそく見てみましたが、やっぱりコメディは秀逸だと思います。
    次回の本公演も観に行きたいです。

    7

    2010/07/13 17:47

    0

    0

  • ちさえ 様

    日程が合わずに中学生役のちさえさんを拝見する事ができず、今回も先生役のちさえさんしか拝見できませんでしたが、無理なく演じている様子が好印象でした。

    8割世界はスタッフも役者もお客さんを大事にしていて、前進しようという気持ちが前に出ていて、見ていてとても気持ちがいいです。
    10月公演までは長い稽古になりそうですが、公演を楽しみにしていますので、体調にはお気を付けて稽古に臨んで下さい。

    次回公演で新しいちさえさんに会えるのを、期待しています。

    2010/07/19 15:16

    鈴木雄太 様

    凹ませるような事を書いてしまって、すみませんでした。
    普段はあまり批判的になるような事は書かないようにしているのですが、まだまだ伸び代もあり、また期待もしているのであえて生意気にも意見を述べさせて頂きました。
    芝居だけではなく、DVDの内容や音質一つを取りだしてみても、もっと改善する事は沢山あるし、できるはずだと思っています。
    エンタテインメントを一生の仕事にするのであれば、一つの事だけではなく広い視野を持って動く事がとても大切になってくるのだと考えています。
    またしても生意気な事を書き連ねてしまいましたが、8割世界の持つ『楽しむ』雰囲気はとても好きなので、あまり貪欲になりすぎて本質の芝居が崩れて欲しくはないと、勝手な事を思っています。
    役者も制作スタッフも、やった分だけ努力が評価されるように願っています。

    次回作も楽しみにしています。

    2010/07/19 15:10

    catharine3様
    いつも8割世界を応援してくださりありがとうございます!
    2作品ごとの丁寧なご感想も有難く拝読させていただきました◎
    DVDもご購入いただき、感謝です!

    本公演も楽しみにしてくださっているご様子、励みになります!
    楽しんでいただけるようにこれからも頑張ります☆

    ご来場、本当にありがとうございました!!

    2010/07/19 09:31

    「観てきた!」コメントありがとうございました!

    「貪欲さがない」というお言葉…素直に凹みました(苦笑)。いや、もちろん凹んで終わる気も、自分らは貪欲だった、などと寝言を言うつもりもございませんので、シッカリとこれからに繋げていきたいと思います!いつかcatharine3様に「8割世界は商業的な意味合いで貪欲だ!」と言って頂けるように精進いたしますので、それまでどうか応援よろしくお願いいたします!!!

    DVDもご購入頂きまことにありがとうございました!
    次回はコメディです!秀逸を超える感想を頂けるよう夏を丸々稽古にあてます!
    ゼヒご来場下さい☆
    今回はご来場に丁寧なご感想、本当にありがとうございました!!!

    2010/07/17 10:35

    catharine3様

    再び、愛情溢れるコメントを頂き、恐縮しています。

    本当に何から何まで、おっしゃる通りで、「欲~」の、まるで、素人劇団のような音の演出には、私も、初見時、開いた口が塞がらない思いでしたし、劇場のマイナス条件を逆利用するくらいのプロ根性論には、全く同感致しました。そうでうよね!コクーン歌舞伎なんて、渋谷の雑踏音や、裏の駐車場を有効利用していますものね。

    8割世界、貪欲さがないという御意見は、全くその通りで、私が縁あって、この劇団を知った頃は、とにかく宣伝能力は皆無だし、HPもネット戦略も、チラシセンスも、どこをどう見ても、お客様にアピールしようという雰囲気が全くありませんでした。(笑)

    >今回の番外公演は、雰囲気の良い8割世界とお客さんの好意の上に成り立った公演だった
    本当に、そうだと、私も同感です。
    皆さん、高評価して下さった方は、作品の出来栄えだけでなく、意欲等のプラスα点を相当加味して下さったように思います。

    catharine3さんのような、全く劇団と何の関係もない、純粋なお客様が、8割世界を、ご覧になって、お気に入り劇団に登録して下さるような、劇団に成長したことは、数年前の、無名時代を知る者にとっては、本当に、感無量の思いが致します。

    これからも、温かく、そして厳しい目で、見守り、応援して頂けたら、嬉しく思います。

    2010/07/14 22:40

    KAE 様
    KAEさんの『観てきた』コメントを二つとも拝見させて頂きました。
    すでに観てきた方の感想を踏まえてもう一度観てみたら、私も違う角度から見る事ができたのかもしれません。
    音の演出に関しましては、個人的に思う所が多く、演出家に対しては差し出がましい意見かとも思いましたが、思わず書いてしまいました。
    もし可能でしたら、5~6年後にでも同じ脚本で高宮さんの演出を拝見したいと思っています。
    今後、高宮さんがどの道に進むのかは解りませんが、初演出作品を数年後に再度演出をしてみると言う企画も面白そうだと、一人で勝手に考えています。

    劇場に関しては、使用料や劇場スケジュール等でどうしようも無い事も多々あるのでしょうが、それを『仕方ない事』で済ませてお客さんの好意に押し付けるのではなく、その逆境すらも逆手にとってしまうような強かさが欲しいです。
    即席で芝居上に取り入れるのは難しい事と思いますので、前説で蒸し暑さや選挙演説が芝居の障りになってしまった場合の対処法を笑いにしてしまうくらいの、その場に対する柔軟さがあれば、自分達に対して不利な条件すらもお客さんからの好意にすり替えられると思います。

    私は8割世界の役者・関係者とは個人的な面識はありませんが、スタッフや役者の雰囲気もよく、芝居を大事にしている劇団だと言うのはとてもよく伝わってきています。
    ですが、商業的な意味合いで言わせて頂くと、まったく貪欲さがないように感じています。
    今の8割世界の雰囲気はとても好きなのですが、もう一皮剥けたらもっと素晴らしいものを作ってくれるのだろうと期待しています。
    今回の番外公演は、雰囲気の良い8割世界とお客さんの好意の上に成り立った公演だったと、改めて思いました。
    KAEさんのように劇団を大事に思い、盛りたてて行こうという方がいる事からも、8割世界という劇団の持つ優しい雰囲気が伝わってくるような気がします。

    2010/07/14 17:44

    catharine3様

    8割世界を、お気に入り劇団に登録されて、この公演を、実際、本当に、その目でご覧になっている、catharine3さんの、的確なる御感想を、痛み入りつつ、拝読させて頂き、大変驚きました。
    実は、私が初見の時の、感想と、ほぼ同意義の御感想だったからです。

    私も、初見時、これは、良し悪しと言うより、明暗を分けたという印象だったのです。
    同じ作家に、2作品、同時に書下ろしを依頼するのは、どうしても無理があると感じました。
    先の作品は、熟練の演出家なら、うまく料理できる作品だったかもしれませんが、それを新米の演出が、迷いつつ料理しておいしい食事になるわけもなく、それを演じる役者さんも、明確な方向性が見えないまま、迷走したような印象でした。
    「欲~」の方の、音響技術の悪さ、豚の声の御感想も、全く同感です。
    そして、おっしゃるように、後から、あー、あれはこういう意味だったのかもと、あの芝居の本質が見えて来る気もしました。
    作者の舘さんは、社会派の作家だそうですから、もしかすると、最近の家畜の病気による社会不安に材を取り、人間の傲慢さや身勝手さを描きたかったのではと思ったり…。それを、若年の演出が理解せずに、コメディ寄りの演出で、急場を凌いでしまった感があり、残念な仕上がりになってしまったように感じました。

    また、劇場の環境の悪さも、本当に、残念でした。
    最初観た日は、エアコン側で、ほぼ半分ぐらい台詞がかき消されて、不満が募りました。
    やはり、消防署が隣接し、選挙期間中の青梅街道沿いの劇場は、あまりにも、観客に不親切な劇場の選択だったと思います。

    劇団側は、是非、今後、番外公演を打つ際には、客席環境をまず一番に配慮してほしいと、痛切に思いました。

    2010/07/14 01:48

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