実演鑑賞
満足度★★★★★
面白い、お薦め。
現代的なテーマのリアルを コメディータッチで描いた珠玉作。
本作は2022年「日本の劇」戯曲賞最優秀賞(竹田モモコ女史)を受賞している。その上演台本(冊子)を無償で配付しており、上演前に1~2頁読んでみた。会話の中に方言があり、急いで当日パンフを見ると彼女の出身地 高知県土佐清水市の「幡多弁」を使用…とある。この方言が、作品の中で独特の味わいと保守的になりそうなテーマへの緩衝的な役割を果たしているようだ。
登場人物は3人の女性。彼女たちと関わりのある 言わば中心人物は登場しないため、「他人」同士が気まずい雰囲気の中で探り合うような会話をしていく。物語は中心人物が不在の一週間、この限られた時間の中で本音と建前 そして<秘密>を紡ぐが、面白さの中に切なさが滲み出るような味わいがある。
3人の女性は年齢や職業、 住んでいる所も地方と都会で地域での付き合い方も違う。勿論 立場や性格も違うが、女性という共通項で親近感、世代や考え方で違和感を浮き彫りにする。一週間という短い そして奇妙な共同生活の中で それぞれを認め合い将来を話し合うが…。
観客は劇中の設定を知っているが、登場人物はその事実をどのようにして知るのか、そしてどんな態度をとるのかといった関心を惹きつける。慌てふためき、戸惑い 困惑といった可笑しみと人に話せない苦悩、そのコミカルとリアルな姿にテーマの難しさを落とし込む。この3人の女性を原日出子さん、畑中咲菜さん、平松美紅さんが見事なコメディエンヌぶりを発揮して溌溂と演じている。観応え十分、ぜひ劇場で…。
(上演時間1時間35分 途中休憩なし) 追記予定