実演鑑賞
満足度★★★★
親心と自立の狭間で悩む少女の旅立ちを描いた心象劇といったところ。人の思いや考え方、どの側面を捉え 見るかによって「ガラリ」と違う。親と子の立場や考えの違い、それを精神科医の問診を通して展開していく。少女の心象であるが、その世界観は分かり易い演出によって巧く表している。
少女の名は 月下海(木下美音サン)、その名の通り深海を思わせるような浮遊感ある舞台美術。同時に、舞台幕を使用して 心に思い描く世界(空想)と現実の世界(問診)…ファンタジーとリアルといった表現の違いも巧い。この違いが テーマ「孤独」を上手く表出している。そして自由・肯定と束縛・心配といった子と親の心情が浮き彫りになる。
親といっても父と母では子への接し方も異なり、親の過去(成長過程)が関係しているという。ただ この親子の関係性は 典型的で斬新な切り口になっていないところ、そして人を観察し深堀しようと試みているが、少し理屈っぽいような気が…惜しい。
(上演時間1時間50分 途中休憩なし) 12.11追記